一川 誠〈千葉大学 文学部行動科学コース〉教授と池上彰による対談を書籍化した、『大人になると、なぜ1年が短くなるのか?』によると、時間には、世界標準時間として時計で示される時間のほかに、心理的な時間があり、その心理的な時間が子どもの頃よりも遅くなるので、実際に目で見て測ることの出来る時間があっと言う間に過ぎるから、という説明がなされていました。
なるほど、心理的な時間が1分経っているのに、実際の時間が45秒しか経過していないのならば、時間の流れはゆったりと感じられますが、反対に心理的な時間が45秒しか経っていないのに、実際の時間が1分経てば、もう1分経ったのかと時間の経過を早く感じますからね。
それは、子どもの頃は、代謝が活発ですが、大人になるに従い、代謝量は減ってきますから、それに対応して心理的な時間も遅くなるために、物理的な時間が早く感じてしまうのだと、説明されていました。
時間とは、「だれも私にたずねないとき、私は知っています。たずねられて説明しようと思うと、知らないのです」というアウグスティヌス(『告白』)の余りにも有名な言葉を、本書でも引いていました。