『落語協会HPの宣伝を兼ねて』
まったく時代というものは、せっかちなものでして、一瞬たりとも一箇所に留まろうとはせず、まさにイオニアの自然哲学者ヘラクレイトスが言ったように「万物は流転す」るようです。
ほんの二年ほど前まで、新聞を開きテレビのニュースを見ると、IT(情報技術)ばやりで夜も日も明けないといった風潮でした。
そのおかげで、今や電子メールはごく一般的な情報伝達手段として、相当数の日本人が使うようになったわけです。
ぼくも、ちょうど二年前からメールを使うようになり、いまや、日常生活でなくてはならない、情報ツールとなりました。
たしかに、メールは便利なものでして時間を選ばず、ディジタルなために、劣化させることなく情報を送受信できます。ですから会話を、声ではなく、目と指で楽しむことができるようになったのです。ただ、なにごとにも弊害はあるものでして、声を出さなくても会話ができるために、満員電車のなかで隣の人が、携帯電話を使ったメール交換を始めると、親指でボタンを操作する音が結構気になるものです。かといって、「親指を動かすのをやめてください」とも言えず、ほんの五年前までは想像すらできなかった原因によって、ストレスが溜まるのです。
加えて、公的な存在であればいまや、ホームページを持つのがごく当然のことになりました。ですから、パソコン一台でどれだけ多くの情報をわれわれは得られるようになったことでしょうか。その恩恵たるや計り知れないものがあります。
ぼくが属する落語協会にももちろんホームページはあり、なんと芸人による、ホームページ委員会なるものまであるのです。聞くところによると、わが落語協会のホームページへは、平均して週に一万人もの方々が訪問しくださるとのこと。これは、凄いことですよ。東京には現在五軒の寄席がありますが、その五軒あわせても、入場客を一万人集めようとしたら、いったい何週間かかることやら。
そのホームページの会員紹介のコーナーでは、協会員全員のプロモーションビデオを流すことになり、先月と今月の二ヶ月でその録画撮りをしています。一人あたり一〇分の持ち時間をいただき、その範囲内であれば、なにをしても構わないことになっているので、まずは見てのお楽しみです。
ちなみに、落語家個人でホームページを持つものもいまや決して珍しいことではなく、それが証拠にかくいう私、らん丈もホームページを今年作りました。ぼくの場合は、読んでいただくコンテンツを中心に、この連載のバックナンバーも掲載していますので、興味のある方は是非アクセスしてくださいますように。決して、損はさせません。
(社)落語協会ホームページ https://www.rakugo-kyokai.or.jp