視察所感
岡山県倉敷市、視察事項「ライフパーク倉敷における生涯学習について」
1、概要
ライフパーク倉敷は、倉敷市における生涯学習の中核的施設を担っており、いわば、中央公民館的な性質を付与されている。
同施設は、社会教育・学校教育関連の5つのセンターからなる複合施設であり、それは、下記の機能を有している。
・市民学習センター:中央公民館としての機能
・情報学習センター:教育総務課の所管
・教育センター:指導課の所管
・科学センター:プラネタリウム、展示コーナー
・埋蔵文化財センター:文化財保護課の所管
2、建設に至るまでの経緯
昭和62年4月 総合社会教育センター(仮称)基本構想委員会が、倉敷市合併20周年記念事業の一環で設置された。
昭和63年4月 建設準備のための専任職員を配置
平成元年6月 建設場所が現在地に決定
平成3年2月 建設工事着工
平成4年5月 施設名公募の結果:総称「ライフパーク倉敷」と決定
平成5年4月 ライフパーク倉敷開館
3、同施設の規模
【面積】
敷地面積 53,667平方メートル
建築面積 9,656平方メートル
延床面積 14,339平方メートル
【構造】
鉄筋コンクリート2階建、一部3階建
【駐車台数】
乗用車235台、多目的広場187台、バス10台
上記のように、充分な駐車台数を確保しているため、公共交通機関を利用して来館する方は少なく、圧倒的に自家用車による来館が多いとのことでした。
4、運営方針
「だれでも、いつでも、どこでも」手軽に学ぶことができる場として、地域文化の向上や社会福祉の増進に資することができるよう、学習機会の充実を図る。
様々な人が「つどいあい、ふれあい、まなびあう」ことができる複合施設の特徴を生かしながら、生涯学習を推進する。
5、総事業費及び財源内訳
総事業費:10,345,606千円
内訳(主な経費)
造成、建築、外構:5,723,880千円
用地購入:2,248,420千円
科学センター展示制作:662,290千円
プラネタリウム制作:635,407千円
財源内訳
補助金(国・県):514,000千円
教育文化基金:3,460,000千円
市債:3,332,600千円
一般財源:3,038,587千円
6、倉敷市公民館の設置状況
トップに、ライフパーク倉敷内にある市民学習センターが位置し、その下に基幹公民館4館があり、その下に市立中学校校区ごとに地区公民館24館がある。
7、公民館職員に求められるもの
公民館の持つ可能性を最大限に生かすために、常に社会の課題や住民のニーズを把握するよう努めるとともに、それらに対応した事業(講座、講演会等)をよりよい方法で企画、実施するよう努めなければならない。
8、倉敷市公民館の主な業務内容
・講座、講演会等の企画・実施
・ホール、会議室等施設の使用に関すること
・人権教育推進等事業の推進
・社会教育団体の支援(子ども会、婦人会)
・図書室業務(市内図書館貸出返却窓口)
・公民館グループの育成
・公民館祭の開催
・市内公民館との連絡調整及び指導助言
・ライフパーク倉敷各センターとの連絡調整等
・視聴覚機材・教材の利用に関すること
・市民サービスセンター業務(一部の公民館)
9、公民館のあり方
【生涯学習の拠点施設】
地域住民に最も身近な生涯学習施設として、主催講座の実施による学習機会の提供や自主的なグループ活動の支援等を通して、住民の生活や能力の向上、自己の充実に寄与するとともに、地域住民のニーズを的確に把握し、社会情勢の変化に伴い生じている問題等についての情報収集にも努め、「個人の需要」と「社会の需要」の両方に対応した多様な学習機会を提供していくことが必要である。
【地域づくりの拠点施設】
地域に密着した最前線の施設として、地域の課題を住民とともに考え、課題解決のための活動を支援し、さらに課題解決に取り組む人々や団体を結びつけネットワークを築いていくことにより、住民が自らの手で住みよい地域づくりを進めていくための拠点としての機能を充実させていくことが必要である。
10、倉敷市公民館の目的
「いきいきとした人づくり 住みよい地域づくり」
この目的を達成するための手段は?
↓
地域や社会に存在するさまざまな課題の解決につながるような『学習機会』を地域の住民に提供すること。
では、そのさまざまな課題とは、何か。
↓
生命、健康、人権、豊かな人間性、家庭・家族、消費者問題、地域の連帯、まちづくり、交通問題、高齢(化)社会、男女共同参加型社会、科学技術、情報の活用、知的所有権、国際理解、国際貢献・開発援助、人口・食糧、環境、資源・エネルギー等
さまざまな課題(現代的課題)の解決につながる『学習機会』とは?
自分の課題や社会の課題に気付き、それらの課題について学ぶことによって自己を磨き、豊かな社会を築いていく主体となる『ひと』を作っていくような『学習機会』であるべきである。
⇒そこで、公民館で提供する『学習機会』は、個人の趣味・教養・技能の向上につながるだけでなく、学習の成果が地域や社会に還元されるような『学習機会』としていかなければならない。
11、倉敷市公民館主催事業実施方針
・市民の生涯学習を支援する拠点施設として、市民の多様な学習ニーズに対応した講座の開催や地域・社会が抱えるさまざまな問題(子育て、環境、高齢化、情報化、国際化等)の解決へのきっかけとなるような学習機会の提供に努める。
・「生き生きとした人づくり」や「住みよい地域づくり」といった公民館の目的をふまえ、市民参加・市民との協働による事業や市民相互の交流を図る事業、学習効果を地域に還元することができるよううな事業の実施に努める。
・児童・生徒・親子対象の講座の充実に努め、家庭教育への支援や子どもも健全育成に努める。
・行政・教育機関・民間団体等と連携し、それらの専門性を生かした講座の開催に努める。
12、くらしき市民講座の概要
【目的】
市の各部局や公的機関が実施する行政課題や地域課題の解決に向けた啓発事業等と市民学習センターの講座事業が連携して、市民から見てわかりやすいかたちで、市民の身近な地域課題等の解決の助力になるような幅広い内容の講座を提供することを目的に開設する。
【連携対象団体】
倉敷市、倉敷市教育委員会、倉敷市の外郭団体及び国、地方公共団体等の公的機関で、講座開設、講座運営に協力的は団体を対象とする。
13、くらしき市民講座のメリット
【市民学習センター】
地域や社会に存在するさまざまな課題(現代的課題)の解決につながるような学びを多様なバリエーションで提供できること。
【連携対象団体】
限られた予算内、人員で啓発事業を実施するにあたり、講座等の開設ノウハウをもつ市民学習センターと連携することで、広報や当日運営等で最小限の人・予算で済むこと。
【市民】
市の各部局でバラバラに実施していた啓発事業が講座として一本化されることにより、わかりやすいかたちで情報入手ができ、かつ、趣味的要素の強い講座だけでなく、講座としてさまざまな課題(現代的課題)の解決につながる講座を受講できること。
14、くらしき市民講座の課題
【受講者の集め方】
地域課題・行政課題といった内容についての講義型講座では受講者が集まりにくい。
⇒講座内容の工夫
趣味的講座の活用等
⇒広報・企画研修の充実
公民館職員だけでなく、啓発事業を担当する市職員に対しても研修の実施を図る。
【連携先との役割分担】
役割の押し付けあい
⇒全庁的に趣旨の徹底
15、くらしき市民講座の今後の展開
全庁的取り組みとしての実施
⇒市主催講座・講演会見直し検討会の実施
(市全部局からの参加のプロジェクト)
【検討会の目的】
・市のさまざまな部局が実施する行政課題や地域課題の解決に向けた講座・講演会等の啓発事業を統一・連携させ、市民ニーズにあった幅広い内容の講座・講演会等を提供すること。
・講座・講演会に関する情報を市民にわかりやすく提供すること。
・厳しい財政状況・限られた人員体制のなか、同対象・同内容の講座・講演会を統一化したり、市の関連部局や市民団体等と連携したりすることにより効果的かつ効率的に講座・講演会を開催すること。
16、今度取り組んでいくこと
若いひとの公民館の利用促進
○中学生から大学生の利用状況
⇒残念ながらほとんどない。
どうすれば若いひとに来てもらえるか
⇒残念ながらアイデアに乏しい
⇒若いひとに公民館の事業へ参加してもらう
⇒倉敷市学生企画講座の開設