町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

会派『自由民主党』 行政視察2014年7月7日「千代田区立千代田図書館について」議員活動

2014.07.15(火)

東京都千代田区、視察項目・千代田図書館の概要について・運営状況について・催事について

1、千代田図書館の概要について
1)千代田区は、区民が約5万3千人であるのに対して、昼間のビジネパーソンが約82万人にも達するという、昼夜間人口差が大きい自治体である。

2)出版産業を地域産業にもっており、区内に出版社が723社あり、東京都全体では2,819社なので、約25%以上を千代田区のみで占めている。

3)世界有数の古書街、神田神保町が、図書館の後背地に形成されている。

 これらの要素を踏まえて、平成15年に千代田区庁舎建て替え実施方針が策定されたことに伴い、平成16年に「新千代田図書館の整備に関する素案」が作成された。

 その際、千代田区から国立情報学研究所に調査委託をおこなった。それを受けて、研究所によって「新千代田図書館調査研究報告書」が作成され、そこには、調査研究・問題解決サポート型図書館の位置づけ、デジタル化、レファレンス高度化出版・書店業界、区内大学図書館との連携協力等の機能的方向性が示される。

 その上で、先に挙げた3点の特徴をもつ千代田区における千代田図書館では、下記の5つのコンセプトによって、地域に根ざした図書館運営を行っている。

1)千代田ゲートウェイ
・コンシェルジュや展示などを通して千代田区の地域情報を発信。
・千代田区の地域産業である“出版”に関する情報を発信。
・本の街、神保町と連携して書籍の入手をサポート。

2)ビジネスを発想するセカンドオフィス
・ビジネスの発想を育てる資料を整備。
・セミナーや講演会によるビジネス支援。
・情報収集ができる環境を午後10時まで確保。

3)区民の書斎
・上質な読書空間を皇居前の地に形成。
・中高生が学び考える力が育つ資料を整備。

4)クリエイトする書庫
・千代田図書館の貴重な資料による研究の場を提供。
・千代田区の地域資料を歴史的資料と捉え充実を図る。
5)ファミリーフィールド
・保護者として必要な知識を提供できる場を設置。
・0歳から中学生までの読書を支援。
・託児サービス等により、保護者のリカレント学習環境を整備。

2、運営状況について
1)千代田図書館は、平成18年9月に、千代田区立図書館指定管理者候補者選定委員会において、指定管理者候補として「ヴィアックス・SPSグループ」に決定され、現在2期目の契約中。

 同グループは、代表企業に株式会社ヴィアックス(サービス・総務・学校支援)が、構成企業としてサントリーパブリシティサービス株式会社(読書振興センター・広報・コンシェルジュ)と株式会社シェアード・ビジョン(館長・企画・システム)によって構成されている。

2)指定管理者制度導入のメリット
1、住民サービスの向上
2、専門的人材の確保、人材の効率的配置等人的資源の整備
3、財務的側面

3)選定のポイント
1、指定管理者制度の理解度と経営方針
2、サービス向上のための新規サービス等業務・サービスの提案内容
3、業務の運営体制
4、業務の継続性と経営の安定性
5、業務実績
6、企画力、意欲等

 その結果、開館時間は従前の午後7時から午後10時まで、3時間延長された。また、一人当たりの平均滞在時間が3時間に増えた。

3、催事について
1)千代田Web図書館
 同図書館は、Web上で約6,200タイトルの電子書籍の貸出・返却ができる。(2014年7月現在)※主に区内在住・在勤・在学の方向けのサービスですが、どなたでも閲覧可能なコンテンツもある。

1、導入スケジュール
事前調査(2007年1〜3月)
・予算確保調整
計画(2007年4〜5月)
・実際にサービスをおこなっている韓国の図書館訪問
・予算執行調整
開発(2007年6〜11月)
・基本パッケージの日本版へのカスタマイズ
・ソウル開発チームとの直接調整

2、千代田Web図書館利用案内
利用対象者:在住・在勤・在学(一部コンテンツのみ一般利用可能)
貸出点数:5点
利用方法:利用可能時間24時間
利用手段:インターネットのつながるPCからアクセスし、専用リーダプログラムにより閲覧
貸出期間:2週間
返却:返却ボタンを押す

3、導入目的と特徴
(1)図書館外部から24時間365時間のサービス提供
(2)提供が難しかった資料が蔵書可能に
(3)蔵書スペース制限の解消
(4)蔵書の保存・維持、紛失や延滞防止
(5)人員の増加なくサービス拡大が可能
(6)区・図書館で作成した資料を容易に作成して提供できる
(7)高齢者・障がい者への配慮

4、利便性
 3DFlashタイプであれば、自由に拡大、アニメーション、さまざまな角度からの閲覧が可能となる。
 Flashタイプであれば、インターネット環境であれば、いつでも何度でも学習が可能。

5、電子書籍サービス導入館
 千代田Web図書館が、2007年11月にサービスを開始した後、堺市立図書館、萩市電子図書館、武雄市MY図書館、有田川Web-Library(和歌山県)、関市立図書館Net Library(岐阜市)、下関市立図書館中央図書館、大阪市立図書館、綾川町電子図書館(香川県)、徳島市電子図書館等がサービスを開始しており、2014年4月現在26館に達する。

6、運営費
 2007年度は、イニシャルコストがかかっているので、約1,160万円だったが、その後、低減傾向にあり、2014年度は、約455万円である。

7、利用者からの反応
・さまざまなコンテンツがあることを知り驚いた。
 これからどんどん使ってみたい。
・子ども向けの英語教材をもっと取り込んでもらいたい。
・3Dや音声が出るものなどWeb図書館ならではの資料があり、家で子どもに見せたい。
・図書館には参考書は、置いていないものだが、音声付の語学教材があり重宝している。
・一般利用者にも電子書籍を貸出してもらいたい。
 外国に駐在しており、利用したい。

8、利用者からの反応
 今後の展開と課題
・魅力あるコンテンツの導入
・行政資料、図書館資料の作成・保存・提供
・小中学校での利用促進

4、所感
1、千代田区と町田市では、その環境に大きな違いが認められるものの、市民のニーズを広く、確実に捉えようとする姿勢には共感がもてた。

2、千代田Web図書館に関しては、電子書籍サービス提供のパイオニアとして、見習うべきことが多々あった。たとえば、計画段階で韓国の図書館にまで訪問していることには、その周到さにあらためて強い導入意欲を感じた。

3、おなじく、千代田Web図書館に関しては、利用者からの多くの好意的な反応があることからも、町田市も導入すべきものと認識させられた。