【箇所】慶應義塾大学 経済学部専門教育科目≪メディア授業≫
【科目】近代日本と福澤諭吉[2単位]{定員150名}
【担当】西澤 直子〈福澤研究センター〉教授〖2020年度履修〗
【受講上の要望】レポート提出までには、『福翁自伝』を読むこと
福澤諭吉の生涯とその思想を、「男女観」「教育思想」「外交論」等多彩な切り口から、それぞれの専門家が分かりやすく解説する。
「『学問のすゝめ』と「学制につき被仰出書」との違いを通じて福澤諭吉の教育観を考える」
1、「学制につき被仰出書」
教育行政を担う文部省が中央政府に設置され、そこで約1年かけてどのような学校制度を作っていくのかを検討した結果、明治5年に「学制につき被仰出書」(以下「被仰出書」)という学制の理念を語った文書が出された。
この「被仰出書」を、『福沢諭吉選集』で福澤の教育論の解説をしている山住正己は[1]、校注をおこなっている『教育の体系』(岩波書店)の解題で、「学制は、明治政府が日本の学校教育を欧米流の近代的な形に組織するため、5年8月3日(1872年9月5日)に公布した、学校制度に関する最初の総合的な規定。その前日に、学制のいわば前文として出されたのがこの文書である」[2]と記している。
その「被仰出書」では学問は、「身ヲ立ルノ財本」[3]、と書かれている。
以下、略。
[1] 富田正文・土橋俊一編『福沢諭吉選集』第3巻(岩波書店、1980年)
[2] 山住正己校注『教育の体系』『日本近代思想体系』第6巻(岩波書店、1990年)30-31頁。
[3] 同上31頁。