町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

2000年度「立教大学学業奨励奨学金」提出論文大学での活動

2000.10.30(月)

2000年度立教大学学業奨励奨学金提出論文(2,000字以内)
【目的】勉学意欲、人物ともに優れた学生の学業を奨励することを目的とする奨学金
1.[最も興味をもった研究テーマ]
 旧来の都市を再構築し、住むことにインセンティヴをもてる都市をいかにしたら創造できるか。

2.[研究テーマを上記に設定した理由]
 昨年4月に横断歩道を通行中交通事故に遭い、右脚を骨折し、初めて松葉杖を使用して歩行した。そうして初めて、健常なときには見過ごしていたさまざまなことに、否応なく気づかされたのであった。たとえば、駅の階段での上り下りの際や、プラットフォームから著しく離れた電車への乗り降りの際に生じる恐怖感。これらは体感して初めて知る得るものであった。
 つまり今日の都市においては、障害を持つ者が自力で移動することが、身体的にも精神的にも過重なる負担を強いる構造を脱してはいない。ゆえにそれを、幾分かでも減少させる方策を探っていきたい。

3.[研究テーマを推進するために]
 交通機関をより快適に利用できることを目指す「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」、いわゆる「交通バリアフリー法」が本年5月に成立し、いよいよ11月より施行される。そのため新設の駅の場合、利用者が1日5000人以上であれば、ホーム転落防止設備の設置、プラットフォームまで車椅子で行けるエレベーター等の設置が義務付けられた。ただ既存の駅は、努力義務となっており、対応は各鉄道会社に任されている。

 それでも営団地下鉄では、今年度29駅にエレベーターを新設する。
 全部で135ある駅のうち、昨年度までは30の駅にしか設置されていなかったので、ほぼ倍増される。
 JR東日本東京支社管内でも、今年度中に東京駅から50km圏内の駅の8割にエレベーターやエスカレーターが整備される。また、東急目黒線ではホームドアを新設した。

 以上は、こと鉄道に限ってのバリアフリーである。公共交通機関には他にも、例えばバスがある。低床化して乗降口の階段を無くした「ノンステップバス」が近年増加している。
 これは運輸省が補助事業費として今年度予算で、28億円の予算を獲得したためである。その結果、今年度末までに4〜500台のノンステップバスが配車され、従来から配車されている分と併せて1200台近くにまで増車される。
 しかし、通常のバスが1300-1500万円なのに比して、ノンステップバスは2300-2500万円と約1000万円も高額なため、補助金なしでは購入が難しく、現在6万台に及ぶバス全体からみればごく僅かに過ぎない。

 以上のことからも分かるように、バリアフリーを実現化するためには、多額の費用を必要とする。その費用を民間に援助する政府は、学業計画に記したように、信頼されるものとならなければならない。
 そのためには政府改革のキーワードである「社会的セーフティネット」「地方分権」「国民の政治参加」の3点を推進することが、強く求められる。

 このうち第一に考えねばならないのは、社会には人々が共通の課題やリスクを互いに協力しながら解決するシステムとしての「社会的セーフティネット」が必要である、ということである。

 「地方分権」に関しては、今年度から施行された地方分権一括法を以てしても、国から地方への財源移転がなされなかったことは、残念極まりない。
 たとえばSNAベース、OECD Economic Outlook,No.67,June 2000によれば国と地方を併せた財政収支では2000年度において、対GDP比8.5%の赤字であり、これは先進国中最悪の数値である。
 また、債務残高は同じく対GDP比112.8%を示し、これはイタリアとともに先進国中他に例をみない債務状況の悪化を示している。

 たしかに租税の平準化や世代間の公平のためには、財政悪化の意義は認められる。

 しかし、今年度中には国と地方を併せて650兆円に達しようとするこの膨大な債務の、ドラスティックな削減なくしては、健全な地方自治、ひいては地方分権はありえないものと考える。

 3番目の「国民の政治参加」を推進し、地方自治体財政を健全なものとするため、わたしは現在経済学部で、文字通り経世済民としての経済学を学んでいる。
 そして、奨学金が給付された暁にはパソコンを購入し、今作成しているような文書を、自宅で作成するために使う所存である。購入後、真っ先に政策提言を、ワープロ機能を使って作成したい。

 最終的には、経済学部で学んだことを社会に還元するべく、上記の課題を市民の協力の許に解決していくために、地方自治体の議員となって、「社会的セーフティネット」「地方分権」「国民の政治参加」を推進し、始めに記したように住むことにインセンティヴをもてる街づくりの一助を担うことを切望する。