町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

俳句 記事一覧俳句

『都市』第81号・2021年6月

2021.06.10(木)

 都市集 中西 夕紀(主宰)選
掲示板去りては戻る受験生
初雪にカーテン開くるもどかしく
通夜の家声を潜めて火の用心
鳥交る死を知り初めし小学生
薄氷を靴のかたちに踏み抜けり

土器拾ひ決まる人生春一番

『都市』第80号・2021年4月

2021.04.15(木)

 「都市の窓」選
マスクして美しさ増す人ありぬ
新米と味噌汁だけの朝の膳
記憶てふ曖昧なもの咳き込みぬ
小春日や耳の掃除を念入りに
失くしてもきつと出てくる冬帽子

『都市』第79号・2021年2月

2021.02.09(火)

表紙イラスト:KICHIKA

羽織紐締め忘れての残暑かな
猪口を伏せコップで受けし菊の酒
秋気澄むパンセ手に取り長椅子に
身に沁むや第一ボタン強く留め
黄落や車列に向かひ敬礼す

『都市』第78号・2020年12月

2020.12.14(月)

 都市集 中西 夕紀(主宰)選
落第生布巾の黴を見つめをり
百合を持ちあごを引きつつ撮る写真
田水沸くピンポン球が浮いてをり
厚き本車内に持ち込む帰省の子
真剣にアイスクリーム掬ふ母

ざんばらの力士歌いつ門火焚く

『都市』第77号・2020年10月

2020.10.13(火)

衣更消防団の階級章
裏庭に草茂り居る朝礼台
夏至の日や売るべき本を決めあぐね
紫蘇薬味少し多めに昼の膳
左見右見こはごは掬ふ泥鰌鍋

『都市』第76号・2020年8月

2020.08.10(月)

どこからかフルート聞こゆ苗木市
幾分か帽子目深に卒業生
花冷の茶会に向かふ兄いもと
師の前で若きままなる四月馬鹿
歯がなくも歯を食ひ縛る吹流し

『都市』第75号・2020年6月

2020.06.10(水)

好天に恵まれし日よ大根引く
春立つや広辞苑取る手も軽し
はうれん草箸伸ばす手は真つすぐに
リハビリに励む犬にも春来たる
春の蚊を眼で追ひて犬走り出す

『都市』第74号・2020年4月

2020.04.07(火)

柿落葉はさみ閉づるは福音書
茶の間にていびきかく妻御代の春
ぼろ市や一度帰りてまた向かふ
鮮やかな初夢見たり酒を断つ
初詣同級生へ手を挙ぐる

『都市』第73号・2020年2月

2020.02.12(水)

栗御飯栗から食ぶる夜更けかな
稲刈りて萬年筆を買ひに行く
草紅葉友ゐない子を迎へ入れ
ドラマでは易く人死ぬ根深汁
飼犬の留守番つとむ七五三

表紙イラストは、KICHICAさんです。

『都市』第72号・2019年12月

2019.12.11(水)

遮断機や汗拭ふ人見つめをり
披露宴遅刻する夢残暑の夜
吊橋を親子でわたる終戦忌
洗濯の深夜に及び星月夜
靴の紐締めてゐる間の流れ星