町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

俳句 記事一覧俳句

『都市』第71号・2019年10月

2019.10.10(木)

ミサののちふらここを漕ぐ神父たち
蕗噛みて忘れたきこと忘れけむ
勝ちて泣く石榴の花に見つめられ
七夕に男二人で映画観て
雪渓の足跡深く交錯す

『都市』第70号・2019年8月

2019.08.12(月)

手の甲に心覚えや新入生
雁風呂や帽子おさへて急ぎ足
啄木忌震へる手にて書く日記
愛鳥週間啄木の歌集手に
閉店を知らず訪ふ夏の霜

『都市』第69号・2019年6月

2019.06.11(火)

振り向かずとも富士のある冬の空
犬二匹耳そばだてる初音かな
雲間より陽の輝きて大試験
波を見て逃ぐる子のゐる磯開き
初蝶に大気揺れゐて日も揺るる

『都市』第68号・2019年4月

2019.04.11(木)

学び舎に法の意味知る隙間風
冬の夜寝てゐる顔は嘘つかず
お揃ひのセーター着込み寝台車
起き上がる覚悟もなくて初寝覚
両手持て成人式の握り飯

『都市』第67号・2019年2月

2019.02.14(木)

逝きし子も色なき風に吹かれけり
肩薄くなりたる母と秋刀魚食ぶ
鰯雲もう一度息深く吸ふ
実のある話とは何ぞ太閤忌
どんぐりの命を拒む固さかな
新しき傘差し兼ねる時雨かな

『都市』第66号・2018年12月

2018.12.01(土)

辞書をもて「放屁」引く子ら夏休み
秋暑し剃り残したる髭一本
蝉時雨お蔭さまにて難聴に
やや力入れ歯を磨く菊日和
三日月を見上げつ薄荷糖しやぶる

『都市』第65号・2018年10月

2018.10.01(月)

教室の机の上の白躑躅
白昼の蛇騒動を遠巻きに
人に遭ひ放す妻の手花火の夜
夏至の日の自転車をこぐどこまでも
ゆで卵塩多く付け夏来る

『都市』第64号・2018年8月

2018.08.01(水)

春の宵求めた辞書をなでさする
幼子の小さき手合はすイースター
霊柩車遠足のバス追ひ抜けり
水切りの石投げ分けて夏に入る
柔道着乾かぬうちの春驟雨

『都市』第63号・2018年6月

2018.06.01(金)

牛の声と船の汽笛と長閑なり
消防の訓練中や春一番
階段を一段飛ばし春に入る
雛飾り人の気配を感じをり
パソコンがつながるまでの花曇

『都市』第62号・2018年4月

2018.04.01(日)

冬めくや釣堀へ行く二人連れ
肩に舞ふ落葉や眼鏡くもらせて
冬に入る雨に大股歩きかな
決断を一日延ばし冬の暮
寒紅の唇閉ぢて襷掛け