『都市』第44号・2015年4月
弓を持ちバス待つをんな小正月
口あけて見てゐる人や富士初日
大元旦川沿ひの道早歩き
年男悪い癖ほど親に似て
吾を師匠と呼ぶ教授なり大試験
弓を持ちバス待つをんな小正月
口あけて見てゐる人や富士初日
大元旦川沿ひの道早歩き
年男悪い癖ほど親に似て
吾を師匠と呼ぶ教授なり大試験
長き夜やピーナッツ袋空にして
唐辛子ついかけ過ぎる宿酔
長き夜や乳母車押す母がゐて
近眼の雁ただ後について飛ぶ
霧の中ぬつと現る人がゐて
人生を大きく変へし夕立雲
蛇口の水直に飲みをり雲の峰
秋めくや小学校の朝礼台
憤怒込め杖をつきつつ秋に入る
朝顔の鉢持つ指の指輪かな
若竹のしなり何度も確かめり
新茶飲み再び見上ぐ飛行船
白シャツや一心不乱に勉強す
丈合はぬ浴衣似合ふはインド人
駆け込めり夏の真昼の映画館
たんぽぽや終に子どもは授からず
虚子忌とは知らで男の子ら踊りをり
柳絮飛ぶ懐中時計とは無縁
蕎麦つゆを余さず飲んで夏来る
まづ見てくれと通さるる初節句
霜焼の手をこすりつつ打つメール
車から見つけし梅や開けて見る
春の朝モーツァルト聞き投票す
街宣車エールを交はし山笑ふ
師が居ることの幸せ小鳥帰る
凩や手に大冊の重たき日
五十路なる歯間の葱の取れぬ日の
秒針の音が気になる雪催
焼鳥を妻と分け合ふ九本目
短日や本の整理は終はりなく
梅雨晴間猫は欠伸を思ひ切り
向日葵は六等身を恥じりをり
蜥蜴にも「さん」とつけやる園児かな
サングラス遺品整理の手の止まる(★)
飛魚のげに楽しげに飛びにけり
記念撮影流星を待ち並びをり(★)
包丁の切り口見事秋茄子
献血の空いた手に持つ鬼胡桃
椅子固き大教室や春愁(★)
去年になき春の夕べとなりにけり(★)
小満や和服の似合ふ異国人
紫陽花に魅せられ落とす文庫本
憎つくき白髪探しては抜く梅雨籠
若いのに扇子が似合ふ准教授
蝿叩き売る店がある大通り
検診結果未だ開かず梅雨曇
それぞれの春それぞれに生きてゐる
スカイツリー見上げ口開く相撲取
心持ち大きく記す「春」の文字(★)
醜男の恋人でも楽しい花見
真つ更の教科書撫でる新入生
初蝶がふはとボランティアの肩に
卒業式胸のコサージュふるはせて(★)
春疾風ふと人生を振り返る
町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打