町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

らん読日記 記事一覧らん読日記

アビナッシュ・ディキシット/バリー・ネイルバフ共著『戦略的思考とは何か』【エール大学式「ゲーム理論」の発想法】菅野隆/嶋津祐一訳(TBSブリタニカ)

2006.10.01(日)

【箇所】早稲田大学 社会科学部 専門科目
【科目】政治行動論[4単位]
【担当】浅野 正彦〈拓殖大学 政経学部 法律政治学科〉教授
【夏季休業課題図書】
《構成》
1.前書き
2.各章の要約と論評
3.後書き

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長谷川集平『はわがわくんきらいや』(すばる書房)

2006.09.20(水)

 この本は、佐野洋子の『百万回生きたねこ』とともに、現代日本を代表する、絵本です。

 したがって、すでに本書をお読みになった方は、多数いらっしゃるでしょう。
 けれど、いいえまだ読んでいないという方がいらっしゃったら、今すぐ本屋さん、または図書館に行って、本書をお読みになることを、強くお奨めします。

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高瀬 淳一『「不利益分配」社会』-個人と政治の新しい関係(ちくま新書)

2006.08.16(水)

 「不利益分配」とは耳慣れない言葉かもしれませんが、これは、2005年の総選挙後、小泉首相の政治手法を分析した、『武器としての〈言葉政治〉-不利益分配時代の政治手法』(講談社選書メチエ)において、著者によって初めて使われた言葉です。

 そこでは、“言葉という資源を操ることで、増大する負担の受け入れをいかに国民に納得させるかという「不利益分配」こそが日本政治の主要な課題となることが見込まれる”(中西寛京大教授)ことを記しています。

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高島俊男『お言葉ですが…7 漢字語源の筋ちがい』(文春文庫)

2006.08.12(土)

 「週刊文春」に連載していた高島俊男の『お言葉ですが…』シリーズは、評判の書です。
 どのように、評判なのか。
 その歯に衣を着せぬ物言いが評判なので、江湖の好評を得ているのです。

イラスト・藤枝リュウジ、単行本:2003年4月 刊行

 本書においても、それは遺憾なく発揮されており、たとえば、下記のようなコメントがあります。
“金田一春彦先生も死にましたね。世に害毒を流すことが多い時局迎合型の人であった。”

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寄本勝美〈早稲田大学 政治経済学術院〉『リサイクル社会への道』(岩波新書)

2005.08.07(日)

【科目】2005年度 早稲田大学 社会科学部 環境社会論Ⅰ
【担当】坪郷 實〈早稲田大学 社会科学総合学術院〉教授
【読書レポート】『リサイクル社会への道』(岩波新書)
【字数制限】3,000字

1、要旨
 ブックカバーの帯に“21世紀の地球をごみで埋め尽さないために”(第1刷)という惹句を付していることからも分かるように、ごみをどのような方途で減量し、リサイクル社会をいかにしたら築くことができるのか、それにあたって市民、企業、行政はどのように取り組んだらよいのかを考究したものが、本書『リサイクル社会への道』である。

 本書は、全7章に及ぶので、章ごとの要旨を以下に記す。

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マックス・ヴェーバー『職業としての政治』脇圭平訳(岩波文庫)

2005.06.05(日)

2000年度後期 立教大学全学共通カリキュラム 総合教育科目
【科目】個人と社会社会について議論するためのヴェーバー入門
【担当】矢野 善郎〈中央大学 文学部 社会学専攻〉教授

Max Weber POLITIK ALS BERUF 1919年

1.始めに
 数多あるヴェーバーの著作の中から本書をレポート作成のために選んだ理由は、現代日本の政治状況をヴェーバーの視点を援用して考えてみたかったからである。

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城山三郎『官僚たちの夏』(新潮文庫)

2005.04.22(金)

 本作はあまりに世評が高く、いまや経済小説の古典といっても好いほどの作品なので、いまさらながらとも思いましたが、念のために記しますと、昭和49年6月から12月まで連載された「週刊朝日」が初出誌です。
 その際のタイトルは『通産官僚たちの夏』でしたが、連載翌年の刊行時に上記のように改題されました。

 世評が高いことの例証として、第1巻に川端康成を戴き、最終の第80巻に古井由吉を据えた“新潮現代文学”という、新潮社から全80巻にわたって刊行された文学全集のうち、城山三郎が担った第56巻に収録されているのが『落日燃ゆ』と、この『官僚たちの夏』であるというトピックをひとつ挙げさせていただきます。

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篠田節子『讃歌』(朝日新聞社)

2005.04.20(水)

 朝日新聞紙上において篠田節子はすでに、日曜家庭欄に『寄り道ビアホール』(朝日新聞社、講談社文庫)を連載していますが、同書はエッセイだったために、小説はこの『讃歌』が朝日新聞への初めての連載となります。

 本作は2005年4月16日に208回にわたる連載を終えたばかりなので、もちろんまだ刊行されてはおらず、多くの新聞小説がそうであるように、刊行時には本作もまた加筆訂正がなされるものと思われますが、日々の新聞に載っていた小説の感想を、うろ覚えのままに書かせていただくことをまずお断りした上で申し上げますと、ぼくはかなり楽しんで『讃歌』を、読んだのでした。

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志賀直哉「雨蛙」

2005.04.07(木)

1、背景
 この作品は、大正12年12月に執筆され(『小僧の神様・城の崎にて』(新潮文庫;高田瑞穂の解説による)、その翌月発行の「中央公論」(大正13年2月号)に、掲載されました。

2、本作品の読み方
 この作品を、1960年代以降のフランス系構造主義者による用語として登場した〈物語〉を、媒介に読んでみます。
 ちなみに、この〈物語〉とは、英雄叙事詩や日本の物語文学といった作品のみならず、神話、伝説、民話、戯曲、絵画、映画等に共通してあらわれる「表象的な機能をもつディスクール(discours:言説、言述)」を指す概念のことであり、これを対象とする科学が《ナラトロジー;narratology》と名づけられました。
 《ナラトロジー》とは、『デカメロンの文法』(1969年)を著したT.トドロフによれば、「ナラトロジーと呼ばれる物語の科学」と説明していることからも分かる通り、〈物語〉を科学として認識する視座です。
今回はその《ナラトロジー》を援用して、本作品を読んでみます。

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川上弘美『センセイの鞄』(文春文庫;谷崎潤一郎賞受賞)

2005.02.08(火)

 芥川賞をはじめ幾多の文学賞を受賞し、文名を馳せている作者ですが、一般読者にも広くその名を認知させるきっかけとなったのが、谷崎潤一郎賞を受けたこの、『センセイの鞄』でした。
 先ずは、未読の方のために梗概を記しました。

【『センセイの鞄』梗概】
 大町月子という名の教え子と、松本春綱という名の高校国語科の恩師が、同じ駅を利用する、その駅前の一杯飲み屋で隣り合わせに偶々、ふたりは座る。
 そこから、この小説は始まる。

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