町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

はるかぜ vol.20 2015年10月号市政報告『はるかぜ』

2015.10.01(木)

・民主主義というもの
・町田駅は世界26位
・町田市決算審査意見書

民主主義というもの

 こんにちのわが国の政治体制は、民主主義です。こんなことは、小学生でも知っていることでしょう。

 では、その民主主義とは、どんな政治体制なのでしょうか。こんなときに便利なのが『広辞苑』(岩波書店)なので、ご登場願いましょう。わたしの持っているのは、第二版補訂版なので、かなり古いのですが、次のように記されています。「民主主義(democracy)語源は、ギリシア語demokratiaで、demos(人民)とkratia(権力)とを結合したもの。即ち人民が権力を所有し、権力を自ら行使する立場をいう。古代ギリシアの都市国家に行われたものを初めとし、近世に至って市民革命を起した欧米諸国家に勃興。基本的人権・自由権・平等権・或いは多数決原理・法治主義などがその主たる属性であり、またその実現が要請される」。

 おなじく中辞典の『大辞林』(第三版、三省堂)では、次のように記されています。「人民が権力を所有し行使するという政治原理。権力が社会全体の構成員に合法的に与えられている政治形態。ギリシャ都市国家に発し、近代市民革命により一般化した。現代では、人間の自由や平等を尊重する立場をも示す」。

 国語辞典らしい解釈ですが、いずれにしろ、「人民が権力を所有し、権力を自ら行使する」ことは、どちらにも記されていることです。

 その権力の行使のひとつが、選挙における投票です。それに関して、ルソーは『社会契約論』で、「イギリス人民は、自分たちは自由だと思っているが、それは大間違いである。彼らが自由なのは、議員を選挙するあいだだけのことで、議員が選ばれてしまうと、彼らは奴隷となり、何ものでもなくなる。自由であるこの短い期間に、彼らが自由をどう用いているかを見れば、自由を失うのも当然と思われる」と、選挙を否定的にとらえていましたが、それにしろ、投票は民主主義の根幹です。

 それでは、市民は、民主主義をどのようにとらえているのでしょうか。それこそ、じつに様々なとらえかたがあります。百花繚乱といいたいほど、ヴァライアティに富んでいますが、工学博士にして、作家の森博嗣(元国立大学助教授)は、こんなことを記しています。

「民主主義というのは、みんなが自由になるということではない。みんなでリスクを分担する、という意味だ。誰もが少しずつ不満を持って、少しずつ危険を抱え込むこと、それを許容することが、民主主義の精神である。不満や危険が一部に集中しないように、バランスを取ることが政治家の仕事になる。したがって、消費税をゼロにするとか、教育費をゼロにするとか、原発を即ゼロにするとか、基地はすべて国外とか、そういう「みんなが得をする」ことばかり言っている政治家は、極論をすれば、民主主義を利用した詐欺師のようなものだ。本当ならば、「どうかこれだけは負担してください」とみんなに頭を下げて廻るのが政治家の使命なのである」

『本質を見通す100の講義』、大和書房

 これは、かなり過激なご意見なので、次に記す穏当な意見をもって、この稿を終えたいと思います。

「民主主義の基礎は、他の人が自分より賢いかも知れないと考える心の準備です」

クレメント・アトリー(英国元首相)

町田駅は世界26位

 「鉄道大国」という言葉をインターネットで検索すると、中国、アメリカ、スイスとならんで日本が出てきます。なるほど、日本は、鉄道大国のひとつなのですね。

 次に、出展が明示されていないので信憑性に不安はありますが、世界上位50駅の年間乗降客数比較というサイト(https://sekaikeizai.blogspot.jp/2013/01/50.html)をみると、日本の駅が上位を独占していることに気づかされます。そこでは、1位の新宿駅(各社合計すると360万人を超えると言われ、世界一利用者の多い駅としてギネスブックにも認定された)からはじまり、23位の押上駅までが、すべて日本の駅という壮観を呈しているのです。これによってもたしかに、わが国が「鉄道大国」であることが理解できます。

 24位になって、ようやくフランスのパリノール駅、25位に台湾の台北駅が入ってきます。その次の26位が、なんと町田駅なのです。

 これには、驚きました。いいですか。町田駅の年間乗降客数が日本でではなく、世界で26位なのですから。これをみても、町田駅の乗降客が世界的にみてもいかに多いのかがわかろうと言うものです。

 それとは別に、「世界で最も美しい駅14選」というサイトもあります。(https://retrip.jp/articles/2732/)そこでは、ベルギーのアントワープ中央駅からはじまり、2位には、ロンドンのセント・パンクラス駅がつづき、6位にはなんと、北陸新幹線が開通した金沢駅がランクインされているのです。

 このように、日本の駅は、世界でも抜きん出て乗降客が多いうえに、金沢駅がそうであるように、日本には世界的にみても美しい駅があるのです。

 町田市内にはいくつかの駅がありますが、その代表ともいえるJR町田駅から東急ツインズに行くデッキ上には、伊藤隆道の『動く彫刻』があり、目を引きます。

 JR町田駅から、中央図書館に向かうと、黒川紀章の『シティゲート』が据えられており、それをくぐって中央図書館にむかうと、オシップ・ザッキンの『「アポリネール記念碑」のための習作』が迎えてくれます。図書館にはいると、今度は、舟越保武の『笛吹き少年』が存在感を主張しています。

 舟越とともに、わが国の戦後彫刻界を牽引したのが、佐藤忠良ですが、その作品も町田市内にあり、その『若い女・シャツ』が、伊藤五百亀の『旦(あした)』と対になって、町田市役所の庭に設置されています。

 その市役所前庭には、東京都名誉都民であり、町田市名誉市民でもある、現代日本屈指の造形作家、三橋國民先生の『ファイブ・ストーンズ』が独自の世界を醸し出しています。

 その町田市役所本庁舎は、建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞を受賞した世界的な建築家、槇文彦による設計です。

 このように、町田市内では、数多くのアート作品を目にすることができるのです。

 ここで、多くの芸術作品や乗降客を擁する町田駅周辺の商店街に目を転じると、ただならぬ動きがおこっていることに気づかされます。それを、町田市経済観光部産業観光課が発行した『2014年度町田市商店街実態調査報告書』で確認すると、次のようになっています。

 商店数は、平成16年の3,103店をピークに、平成24年には2,065店にまで減ってしまいました。年間販売額は、平成19年の8千96億5千6百万円から、平成24年には5千3百30億7千9百万円にまで、落ち込んでいます。

 それにたいして、同報告では「買い物やサービスを求めて市内唯一の広域商業集積地である中心市街地に足を運ぶのではなく、周辺他都市への流出が容易に行われている」との見解を示しています。

 それでは、地元の商店に期待すること、欲しいサービスには、どのようなものがあるのか。それを挙げてもらったところ、下記のとおりとなりました。

 業種や業態に関しては、スーパーや個人の食料品店など、身近な食料品を求める声が目立ちました。また、書店やDVDなど、文化的な商品を扱う店への要望も多いのです。一方で、衣料品や外食などについて、若者向けの店が多すぎるという意見も挙がっています。

 ここで、『タウンニュース』が、今年の7月9日号でおこなった読者アンケートの結果をみると、町田の人はどこにでかけるのかとの問いに対して、「町田」と答えた割合が45%で抜きん出た1位となっているのは、当然のこととして、2位は「橋本」の14%、3位は「横浜」の13%が続いています。

 また、小田急電鉄による海老名駅周辺の約3万5千㎡に及ぶ大規模な開発も発表されました。

 これからは今まで以上に、都市間競争が熾烈になりますから、町田市以外の都市に、町田市民が流出しないように、対策を講じなければなりません。


町田市決算審査意見書

 地方自治法が昭和38年に改正されて、それまで市町村では任意設置であった代表監査委員制度が必置とされました。それ以前の昭和21年に、地方制度が改正された際に、監査委員制度は導入されました。その制度によって、地方自治体の財務事務の執行や事業の管理が監査されることになりました。

 監査委員は、首長が議会の同意を得ることによって、知識経験者および議員のうちから選任されます。

 監査委員の主な権限は、下記のように広範です。

  1. 一般監査(定例監査、随時監査)
  2. 特別監査(直接請求、議会要求、長の要求)
  3. 決算審査
  4. 現金、物品等の出納検査、工事の検査
  5. 住民監査請求による監査
  6. 職員賠償責任の監査

 上記のうち3、にあたる、平成26年度の町田市決算審査意見書が、監査委員より提出されました。⇒https://www.city.machida.tokyo.jp/shi_kansa/kansa_kekka/kessan.html

 それによると、歳入のうち最も大きいものは、市税の681億6,461万9千円であり、それは、歳入の47.3%を占めています。

 一方、歳出のうち最も大きいものは、民生費で、699億5,179万9千円であり、その割合は50.0%を占めています。

 このように、町田市では、はじめて、民生費が市税を超えてしまったのです。ちなみに、民生費とは、児童、高齢者、心身障害者等のための各種福祉施設の整備および運営、老人医療の公費負担、生活保護の実施等の諸施策を推進するのに要する経費のことです。

 その推移は、下図のようになっています。

町田市の民生費の推移
町田市の民生費の推移

 こうして、近年町田市においても、民生費が確実に増えていることがわかります。