・町田市新中期経営計画が策定される
・議会と長の違い
・らん丈の一般質問のうち、町田市が実現させたもの
町田市新中期経営計画が策定される
1、町田市新5ヵ年計画
町田市は、2012年度から2021年度までの10年間を、『まちだ未来づくりプラン』を基本方針として、それにそって行政を運営しています。
そこでは、まちづくり基本目標として下記の4項目が挙げられています。
- 基本目標Ⅰ 将来を担う人が育つまちをつくる
- 基本目標Ⅱ 安心して生活できるまちをつくる
- 基本目標Ⅲ 賑わいのあるまちをつくる
- 基本目標Ⅳ 暮らしやすいまちをつくる
上記の基本目標は、見ておわかりのとおり総花的なもので、特に目を引くものはありません。これらの目標を達成するために、前期実行計画である「町田市新5ヵ年計画」が策定され、今年(2016年)度までがその実施期間でした。
そこで策定されている「基本目標Ⅰ 将来を担う人が育つまちをつくる」では、その基本政策1として、「安心して、楽しく子育てができるまちをつくる」を掲げ、「保育所の整備」が、具体的に提示されています。その目標値は、次のようになっています。
「保育サービス定員5,417 人(2011 年 4 月)⇒6,764 人」
行政で重視されるのは、上記の目標をいかに実行に移すかということです。品質管理の際に言及されるP(lan)D(o)C(heck)A(ction)サイクルでいうと、Doに当たります。
その実行状況をみると、次のようになっています。
2012年4月 | 2013年4月 | 2014年4月 | 2015年4月 | 2016年4月 | |
保育サービス定員 | 5,661人 | 6,068人 | 6,424人 | 7,255人 | 7,441人 |
上記のように、2016年度までの実行目標である6,764人は、前倒しして、2015年度までに達成されていることがわかります。
目標が達成されているのですから、町田市では保育所の待機児童がいなくなったのかといえば、実態はまだ、待機児童はいます。
このように、目標を達成すれば行政課題が解決されるのかといえば、決してそんなことはないのですが、少なくとも自ら掲げた目標は達成するように努力をしなければ、なんのために、目標を掲げたのか分からなくなってしまいます。
このように、保育所を整備して待機児童を減らしそれを究極的には0にする施策は、町田市に限らず都市部の多くの自治体で実施しているのですが、それによって待機児童を0にした自治体はほとんどないのではないでしょうか。
それは、国も同じで、安倍政権は2017年度末までに「待機児童0」を、2013年に発表した待機児童解消促進化プランに盛り込みましたが、その目標達成を「厳しい」と衆議院予算委員会で、安倍首相が答弁しています。
2、町田市5ヵ年計画17-21
すでにふれているように、この実行計画は2016年度までのものなので、その後期実行計画である「町田市5ヵ年計画17-21」を、町田市はあらたに策定したのです。この「町田市5ヵ年計画17-21」は、町田市のHPに掲示されているので、詳細を知りたい方はこちらをごらんください。⇒https://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/koho/kisyakaiken/2016/kaiken20170208.files/2-2.pdf
その冒頭には、次の文言が記されています。
「現実行計画に沿って事業を進める中、町田市を取り巻く環境は大きく変化しました。人口推計の結果、2020 年以降町田市の人口が減少することが明らかになったことや、社会保障関係経費の増大により構造的収支不足とも言える状況に陥ったこと、東京 2020 オリンピック・パラリンピックの開催が決まったこと等があげられます。 町田市は次の5ヵ年では、これらの環境変化を課題と捉え、子育て環境の充実やまちの魅力向上といった「未来への投資」を行うと共に、持続可能な行政の実現に向け、「公共サービス改革」を実行していきます。 そして、15 年後も 30 年後も選ばれるまちの実現を目指します」
というのです。
ここでふれられているように、町田市の人口は、2020年以降減少するというのです。それ
以上に、重視しなければならないのは、「社会保障関係経費の増大によって構造的収支不足とも言える状況に陥ったこと」です。
これからの日本ではいずこも高齢化が、進んでいきます。それに伴って、社会保障関係経費は、増える一方です。それについて、町田市は次のように指摘しています。「1、2025年には団塊の世代が後期高齢者となる。 医療・介護給付、生活支援のニーズはピークを迎える。2、今後は、生産年齢人口減少により、構造的収支不足が年々拡大する」。
このように、これからの町田市は、その行政課題が増えていくのに反比例するかのように、税収は伸び悩むのです。
この問題を解決するには、市民のご理解を得ながら、市民にとって不人気な施策を民主的に進めていくしかないものと思われます。
議会と長の違い
1、憲法に見る相違
この『はるかぜ』でも何度か採り上げたことがありますが、今回も議会と長との違いについて考えてみたいと思います。ここで、「長」と記しているのは、日本国憲法では「市(区町村)長」ではなく、ただ「長」と、記されているからです。
違いの前に、議会と長でおなじ点をみますと、93条2項に次にみる条文があります。「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」。
このように、長も議会の議員も住民による選挙によって、その任に就きます。
日本国憲法に当たると、議会と長の違いは明瞭です。93条1項で次のように記されています。「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」。つまり、議事機関として議会を設置することは、憲法に明記されているのです。
それに対して、地方公共団体に長を設置するとは、憲法には記されていません。つまり、憲法上、長は必置機関ではないのです。
2、権限
議会の必要的議決事項は、重要事項に限定されており、地方自治法96条1項は、次の各号を列挙しています。
- 条例を設け又は改廃すること。
- 予算を定めること。
- 決算を認定すること。
- 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。
- その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
- 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。
- 不動産を信託すること。
- 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
- 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
- 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
- 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
- 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起、和解、あつせん、調停及び仲裁に関すること。
- 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。
- 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。
- その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項
このように、96条1項1号から3号までは、国会と同様の権能ですが、4号以下は、個別処分についての議決権も含まれており、立法権の行使に限られるわけではありません。このように、地方自治体の議会は、その自治体の重要案件に関する審議議決機関であり、重要案件の中心は立法に関するものですが、重要な行政上の意思決定の機能も担うものということができ、その点では、地方議会のほうが国会よりも広範な機能を有するといえます。
それに対して、長の権限を地方自治法で見ると、149条に次のように記されています。普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。
- 普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。
- 予算を調製し、及びこれを執行すること。
- 地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。
- 決算を普通地方公共団体の議会の認定に付すること。
- 会計を監督すること。
- 財産を取得し、管理し、及び処分すること。
- 公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。
- 証書及び公文書類を保管すること。
- 前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。
議会の場合は限定列挙ですが、長の場合は、冒頭に「概ね」と記されていることからも、議会に比して長の権限のほうがつよいものであることがわかります。
3、退職金
町田市長の退職手当は、条例で次のように定められています。「町田市長等の給与に関する条例 2条 市長等の受ける給与は、給料、期末手当及び退職手当とする」。
それに対して、町田市議会議員は、退職手当はありません。「町田市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例 1条 市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当は、この条例の定めるところによる」。
らん丈の一般質問のうち、町田市が実現させたもの
1、今からちょうど10年前の2007年、第3回町田市議会定例会での一般質問で、らん丈は、「「入れ歯回収ボックス」の開設を望む」として、不要になった「入れ歯回収ボックス」を、市役所に設置するように提案いたしました。
すると、町田市は早速、市役所(現在は1階南エレベーターロビー)と町田市社会福祉協議会事務局に設置いたしました。
その結果、昨(2015)年度では、84,318円分(入れ歯21個分相当)を回収いたしました。そのうちの40%にあたる33,727円が、町田市社会福祉協議会に寄附されました。
このように、らん丈は、市民の負担を増すことなく町田市に資する、政策提案をおこなっております。
2、昨年(2016年)の町田市議会第3回定例会の一般質問では、無料の家庭教師を利用で きる等ひとり親世帯への学習支援を強化してはどうか、と提案したところ、子ども生活部長は、「先行自治体での取り組み状況を参考に手法や対象者などの研究を進め、実施に向け検討したい」と、極めて前向きなご答弁を引き出すことに成功いたしました。
3、おなじ定例会で、「自治体による生活困窮者への支援としてフードバンクと連携、活用 してはどうか」と提案したところ、地域福祉部長は「食糧支援を必要とする方からの相談には、利用に関する制度の説明をした後にNPO法人へ情報提供を行い、円滑に利用できるよう取り組んでいます」とのご答弁をいただきました。