町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「保健福祉常任委員会」 行政視察2006年議員活動

2006.05.11(木)

行政視察報告書
保健福祉常任委員会行政視察 2006年4月25日(火)〜4月27日(木)
視 察 先
及 び
調査事項
神奈川県藤沢市・高齢者福祉の充実について
岐阜県大垣市・高齢者福祉の充実について・子ども行政について
愛知県半田市・子ども行政について・病院事業について

 視察所感〔緒論〕
 私は本年3月に初めて町田市議会に議席を得たために、今回の行政視察において、初めて調査に従事したことになる。
今回は、1日1市、合計3市3日間の視察であり、町田市から藤沢市への移動のみ庁用車を使用したものの、それ以外は、東海道新幹線やJRの在来線、私鉄に乗車しての移動が主であった。
 その際、新幹線の座席は指定席ではあったものの、グリーン車は使用せず、公費を使っての視察においては、妥当と思われる選択がなされていた。
 また、2泊した名古屋での宿、ロイヤルパークイン名古屋も、駅に近く交通至便の地にあり調査には好都合であり、その室内装備等は決して華美ではなく、実質的な機能に徹したホテルであった。居室においてはシングル室を使用したため、公費負担としては、妥当な宿泊施設と認識した。
 平成18年5月9日
  町田市議会議長 様
          委 員 名  三遊亭 らん丈

行政視察報告書
視察所感
1、藤沢市、訪問ボランティアナースの会「キャンナス」
 「キャンナス」とは、CANNUSのことであり、nurse(看護師)をcan、つまり、看護師を中心として、地域に根付いた訪問介護サービスを展開するボランティア団体
であり、1997年に設立され、看護師が有償ボランティアで訪問介護を行う日本で唯一の団体である。
 そこでは、「看護や介護で疲れている人たちに、休める時間を持たせてあげたい」を合言葉に、滞在型ケアのスタイルを貫き、訪問看護・介護・家事支援・送迎を中心に、在宅介護に励むご家族をサポートしている。
 当会では、介護保険が定める訪問介護の報酬の約2割、1時間1、600円で要介護者の家庭に出張する。従って、「看護師なのに、そんなに安価な料金設定では、専門職である看護師をヘルパー代わりに使うことになり、不当に地位を低くしている」という批判は、今でもあるそうである。

 また、「医師の指示もなく医療行為を手がけるのは、医師法違反ではないか」という批判もある。
 一方では、主婦ヘルパー方の有償ボランティア団体からは、「最低賃金よりかなり高価な料金設定にもかかわらずボランティアを名乗るのは疑問」との批判も受ける。
 そんな声に屈せずにこの会を維持発展させた原動力は、この会を発足させて、現在も代表を務める看護師の菅原由美さんの、「医療行為といっても、あくまで家族の代わり。
せっかく取得した看護師の技術を有効に使わないのはおかしい」との揺るぎない信念があるからだ。
 菅原さんの意見に共鳴する方は多く、全国に現在14箇所の「キャンナス」が設立されるまでに発展した。
 それを支えているのが、看護師資格を折角取得しても、就職後、途中離職する看護師が多いため、その潜在看護師の受け皿として、当会が機能している面を見逃すことができない。厚生労働省によると、潜在看護師は約55万人いるとのことである。
 もうひとつは、在宅治療の需要が多いにもかかわらず、介護保険制度のもとでは、保健の対象にならないケースがあるために、ニーズを満たす団体がなかったところに、このキャンナスができたために、救世主的な存在になったことを強調したい。
 つまり、これは制度的に、介護保険制度ではその要求を満たすことができない被保険者が、少なくないことを端無くも示している。
 当会は、菅原由美さんの強い影響力のもとに運営されているので、菅原さん以外の人材の養成が急務と思われた。

2、岐阜県大垣市、構造改革特区(子育て・福祉)
1)大垣市立赤坂幼保園
平成17年度に、構造改革特区申請が認められて、赤坂保育園と赤坂幼稚園が合併して創設されたのが本園である。
構造改革特区で実現したのは、以下の特例措置である。
◎幼児が満3歳に達する年度の初めから幼稚園に入園できる。
◎保育の実施に係る事務の教育委員会への委任。
◎保育所保育室での保育所児と幼稚園児の合同保育の容認。
◎公立保育所における給食の外部搬入方式の容認。
◎保育所と幼稚園の保育室の共用化の特例。 
 そもそも、大垣市が上記幼保園を設置するに至った理由は以下の通りである。
○少子化。
○子どもの育ちの環境整備。
○民営化に向けての検討課題。
 上記の案件を踏まえて、下記事項が平成14年に庁内において、合意された。
1、公立幼稚園における3・4歳児の就園実現。
2、小規模な公立保育園・幼稚園の統廃合。 
3、留守家庭児童教室の幼稚園児受け入れ廃止。
4、公立保育園と幼稚園の連携強化。
5、保育園と幼稚園の新しい関係づくり。
 この庁内合意によって、幼保一元化検討委員会が設置され、『幼保園』構想の策定へ繋がる。
 幼保一元化が実施されるに当たっては、保育園施設が老朽化し建替え時期を迎えていたことと、幼稚園保育園が隣接して建っていたことが、大きなインフラ要因であることが、実際に幼保園を見学しての実感だった。 
 幼保園が実現したために、3歳児から5歳児は、幼稚園・保育園に係らず、同じ年齢の児童が適正な集団規模で、同じ教育・保育を受けることができる体制を構築することができた。
 実際に見学して、長時間保育である、保育園・幼保園と短時間保育である、幼稚園・幼保園では、子どもを預かる時間に差が出来ることから、短時間保育の児童が親御さんのお迎えで帰宅する場合、親御さんの姿を見ると、長時間保育の児童は里心がついてしまうので、それを防ぐために、接触しないように細かい配慮がなされていることが、幼保園の成功に至った理由であると、確信した。

2)「特別養護老人ホーム サンビレッジ新生苑のサテライト施設」
 この施設も、構造改革特区の認定を受けて設置されたものである。
 この施設の設置により、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で安心して生活を続けることができ、サテライト施設を核として通所介護等様々な福祉サービスを地域に提供することにより、市民の多様なニーズに対応することが可能となった。さらに、入所者と地域住民等との交流が図られ、住民によるボランティア活動の活発化など、地域の活性化が期待される。
 このサテライト型特別養護老人ホームを設立したのは、母体施設との密接な連携を確保しつつ、母体施設とは別の場所で運営する個室・ユニット型の居住施設を作るためである。
 それは、特別養護老人ホームの定員が県単位で決められているために、容易に増員できないという事情を考慮した結果であった。
 したがって、サンビレッジ大垣の定員は、18名であるが、それは本体施設である、隣町のサンビレッジ新生苑からの移転分であって、定員が増員されたわけではない。

3、 愛知県半田市
1)子育て総合支援センター「はんだっこ」
 名鉄知多半田駅とは立体歩道によって隣接されている交通至便の地にあるビル3階に開設された、半田市市民交流センターの一角に設けられたのが、この子育て総合支援センター「はんだっこ」である。 
 そこは、民間委託された、ファミリーサポート事業、幼児一時預かり事業もあり、町田市の現状を考えると実に羨ましい施設であった。 

2)半田市立半田病院
(1)地域周産期母子医療について
〔メリットとデメリットについて〕
 患者にとっては、いつでも、どこでも、妊娠母体・分娩の異常、胎児・新生児の異常や緊急事態に最適な医療を提供するために、産科・小児科の一貫した総合医療体制を構築しているが、病院にとっては、不採算部門であるために、経営面での効率は悪い。
 今後の課題として、全国的な産婦人科・小児科医の不足が深刻化しており、継続的に医師確保を図っていくことが大きな課題となっている。
※病院の廊下で絵画展を開いていましたが、御蔭で華やかで美的な空間が創出されていました。