町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

会派『まちだ新世紀』 行政視察2007年7月5日「鈴鹿市庁舎」議員活動

2007.07.31(火)

1.鈴鹿市庁舎の概要
1)鈴鹿市および市庁舎の概要
 鈴鹿市は、三重県にあり、東は伊勢湾に面し、良港に恵まれている。
 そのひとつ、白子港から天明2(1782)年、江戸に向かって出港した、大黒屋光太夫は、暴風雨に巻き込まれ、アリューシャン列島にまで流されてしまう。
 飢餓と酷寒に苦しめられながらも、シベリアのイルクーツク、そして、サンクトペテルブルグに到着。エカテリーナ二世に拝謁後、帰国を許され、寛政4(1792)年に、根室に帰国した。
 その詳細については、井上靖『おろしや国酔夢譚』、吉村昭『大黒屋光太夫』に譲りたいが、海に面した、開明な土地柄が推察される。
 鈴鹿市は、昭和17年に2町12か村が合併し、人口約5万2千人から出発した。
 現在は、20万人以上の人口を擁する中規模都市である。
 我々は、伊勢鉄道鈴鹿駅から徒歩で市庁舎に向かったのであるが、下車後すぐに市庁舎をそれと視認することができた。
 なぜならば、地上15階建てで高さが73mあり、周囲にそれと比肩しうる高層建築物が一切ないために、その威容は、目を瞠るばかりであったからである。
 まさに市庁舎は、他を圧倒して屹立していたのである。

2)市庁舎建設への経緯
 市庁舎の分散化、狭隘化、老朽化が進捗したために、鈴鹿市は建て替えを模索し、昭和63年3月から、新庁舎建設基金の積み立てを開始する。
 分散化とは、鈴鹿市の行政機能が10箇所に分散していたことを指す。
 老朽化とは、最古の建物が、昭和29年竣工であり、議場があった庁舎は昭和44年竣工のものだったことを指す。
 鈴鹿市市制施行50周年を契機に、平成5年度から市庁舎整備推進研究会(有識者)・幹事会・専門部会を設置し、協議・検討を始めた。
 平成11年に、現在地(神戸)での建て替えを決定した。
 完成までに要する年月が最短で、なおかつ、用地拡張が伴わないことから、財政的に過大な負担とはならない、という理由からであった。
 平成11年に、新庁舎建設基本計画を策定し、翌年度に、基本設計を策定。プロポーザル方式により、業者を選定。
当初は、90社以上が参加したが、最終的に、7社に絞られ、その中から、名古屋市にある、株式会社石本建築事務所と設計・監理の契約を随意にて締結した。
 特筆すべきは、平成15年に設計の無駄、華美等を再点検し、また、入札制度の見直しをしたことにより、13億8千万円もコストを削減できたことである。
 それは、同年に行われた市長選挙により、新市長が誕生したことに伴い、新市長主導のもと、建て替えの見直し作業が行われたためである。
 また、新庁舎について、再度、市民の意見を聴く機会を設けるために、車座懇談会を23地区で、20数回にわたって開き、パブリックコメントの集約に勤めた。
 なお、設計当初は、1階受付にワンストップサービスを設ける構想はあったものの、それは諸事情から、断念に至ったそうである。

3)市庁舎の特徴
1、環境にやさしい庁舎を目指し、太陽光発電、自然通風、自然換気を行い、雨水をトイレの洗浄水や植栽の散水に利用している。

2、13〜14階が、本会議場、議員控え室等、市議会フロアとなっているが、その際の、面積の積算根拠となる基準は、特に法律、法令等を参考にはしなかったそうである。

3、設計により、1〜2階の低層部と3〜15階の高層部を画然と分けており、その間を、通風が可能となるスペースを設けていた。
 こうすることで、風の抜け道を確保し、また建物形状にも配慮し、周囲に対するビル風発生を軽減化していた。

4、3階は、執務スペースとするには、天上高が確保されないために、全フロア書庫としているほか、各階にも書庫スペースを設けることで、各人の机上に書庫をおかないようにし、書類の一括管理を行っているのが、際立った特徴であると思った。

5、最上階の15階は周囲に高層建築物が一切ないために、眺望絶景の場所であり、そこには、展望ロビーが配置されていた。
 ただ、そこにある商業施設は、小さな売店のみで、市民に大きな利便を供しているとは言い難かった。
 また、本庁社内には食堂は設置されていないので、ここは、是非食堂を設け、夜間も営業し、眺望を楽しみながら食事を楽しめるレストランを設ければ、市民に大いなる利便を供することになると思った。
 実際、群馬県庁舎では、最上階をレストランのフロアにし、日曜、夜間も営業しているために、実に多くの利用者がいる。

6、災害に強い防災拠点となるべく、災害時に飲料水を確保できるよう受水槽には、緊急遮断弁を設置し、100tの飲料水を確保できるようにしていた。