1、事業経過
平成10年度 基本構想策定
平成11年度 環境影響評価実施
平成12年度 地元同意取得、施設基本設計作成
地元対策ですが、視察で見る限り、工場の敷地とは道路を隔てて複数個の民家があるため、地元対策は決しておろそかにはできません。
当該工場の場合、昭和53年からすでに当所において約30年間清掃工場が稼動してきた実績があったため、同意が得られやすかったものと考えられます。
平成13年度 生活環境影響調査縦覧、都市計画変更、整備計画提出、用地取得
平成14年度 敷地造成工事(平成15年度完成)
プラント工事着手
平成15年度 ごみ焼却棟建設工事着手
平成16年度 粗大ごみ処理棟建設工事着手
平成17年度 特別高圧受変電棟建設工事着手
平成18年度 計量棟建設工事、場内整備工事
18年11月 ごみ焼却試運転開始
18年2月 粗大ごみ試運転
平成19年4月 本稼動
2、建設費
約212億円(うち、プラント工事費約111億円で、国からの補助金25%)
3、施設概要
敷地面積 約51,600平方メートル
4、コンセプト
鹿児島市では、「人と自然にやさしい快適なまち」を市政の基本目標のひとつに掲げ、ライフスタイルの多様化に対応した資源循環型社会の構築に向けて、ごみの発生そのものを抑制することを基本とした3R(reduce(リデュース),reuse(リユース),recycle(リサイクル))の取組みを展開し、ごみの減量化・資源化の推進と適正処理に努めている。
それを実現させるために、鹿児島市は新たな北部清掃工場を稼動させるために、平成14年度から整備を進めてきました。
5、北部清掃工場の特長
1)施設の特長としては、ごみ焼却炉において発生する熱エネルギーを可能な限り有効利用していることと、新たな施設として、焼却灰の資源化を行なう「灰熔融固化施設」、粗大ごみから資源物を回収する「粗大ごみ処理施設」を備えていることにより、従来にはない施設を設置していることが挙げられます。
熔融炉で焼却灰と飛灰の混合物をプラズマにより高温溶融し、水で急冷して均質なスラグとして排出し、スラグは埋め立て処分場の副土材として活用しているとのことでありました。
同じく、排出されたメタルは、1kg40円で売れたとのことでした。
こうした施設によって、地球環境に優しい循環型社会に対応した清掃工場を実現しています。
2)万全な公害防止設備を備えている。
ダイオキシン対策として、コンピュータ制御による完全燃焼、減温塔による燃焼排ガスの低温化、活性炭による吸着除去を行なっています。
このほか、排ガス中のばいじん、塩化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物の除去についても、2段のろ過式集じん器、触媒脱硝装置を設けるなど、最新の技術を導入して公害防止に万全を期していました。
3)ごみの焼却により発生する熱エネルギーを最大限活用するため、蒸気の高温高圧化による高効率発電が行なわれていました。
6、北部清掃工場を視察した感想
1)工場内を視察した際、焼却炉やごみ集積場に近づいても、異臭が一切ないことに驚いた。
2)北部清掃工場の最大の特長は、灰熔融炉にあります。それは、プラズマ式溶融炉と呼ばれるもので、焼却灰を、高温で溶融固化することによって無害化し、資源化等の有効利用を図っています。そのことによって、リサイクルの推進に資する施設となっています。
また、この溶融炉の設置は、国からの補助金を受ける必要条件でもあり、この施設を設置することにより、北部清掃工場は補助金を約111億円得ることが出来ました。
もちろん、この焼却炉の運転は、自動化が図られており、中央制御室で集中管理することにより、安全且つ安定した運転が行なわれているとのことでした。
3)工場を新設大型化したものの、運転の自動化を図ったために、工場管理係の増員はなく、技術係の増員を1名のみ図ったとのことでありました。
ここにも同工場の省力化への、真摯な取組みを見て取ることができました。