行政視察報告書
文教社会常任委員会行政視察 平成21年4月21日(火)〜平成21年4月23日(木)
視 察 先及び調査事項
千葉県木更津市・義務教育の整備、充実とその質的向上について
宮城県仙台市・義務教育の整備、充実とその質的向上について
・文化・スポーツの振興について
岩手県一関市・防災対策について
視察所感
【千葉県木更津市】
(1)学校支援ボランティア推進事業の趣旨
1)「木更津市学校支援ボランティア活動推進事業」は、平成10年度より開始され、今年度(平成21年度)で12年目を迎える事業である。
この事業は、木更津市の教育を支える「家庭、地域社会、学校・行政によるトライアングル子育て運動」を推進する事業の一つとして、「家庭・学校社会との協働」を目指しているものである。
2)学校支援ボランティア活動には、「環境整備支援」、「教育活動支援」、「安全支援」の3つの領域があり、専門性はなくとも、学校を支援したい、という思いがあれば、だれでも活動が出来るという点で、いわゆる「社会人活用」とは趣を異にしている。
3)学校支援ボランティア活動の具体的な狙いは、次の3つである。
1、学校と家庭・地域の連携の強化
2、地域内での連携の強化
3、子どもたちの規範意識の向上
(2)学校支援ボランティア活動の実際
1)環境整備支援は下記の項目が、実際に行われているものである。
・花壇整備・校庭整備(除草等)・小破整備・トイレ清掃
2)教育活動支援
・読み聞かせ・英語活動・ドリル学習・部活動・家庭科補助・工業高等専門学校教授、学生による理科出前授業・和楽器指導(琴)・書道指導・昔遊び指導
3)安全支援
・登下校の安全パトロール・登下校の引率・プール指導巡視・校地内、校舎内パトロール(不審者侵入対策)、向寒マラソン巡視
4)その他
・校内無線LAN整備・学校ホームページ管理・紙芝居、影絵上演
(3)平成21年度の目標
1)各学校の実情にあったボランティア交流集会の実施をしよう。
2)各学校のボランティア活動を広報していこう。
3)ボランティア活動の開発をしていこう。
(4)推進のための具体的取り組み
1)募集及び登録の簡素化を図り、それを推進する。
2)校務分掌上、「学校支援ボランティア担当者」を位置づける。
3)教育委員会の活動
1、各学校に年間1万円の市共通商品券、登録者には登録証を配布する。
2、各学校の学校支援ボランティア担当者及び学校支援ボランティア・コーディネーターを対象に研修会を年3回実施する。
3、学校間の情報交換、市内全域への学校支援ボランティア活動の啓発を目的として、年1回「学校支援ボランティア交流集会」を実施する。
4、広報紙で、各学校の学校支援ボランティア活動を紹介する。
(5)推移及び事業予算
1)事業予算内訳
1、各学校に一律1万円の商品券を支給する。
2、保険料は一人当たり200円で、活動中及びその行き帰りの保障をする
3、登録証印刷として、学校支援ボランティア登録証の印刷費を負担
4、講師謝金等として、ボランティアコーディネーター研修会の講師に謝金を差し上げる
(6)成果と課題
1)成果
1、国が「学校支援地域本部事業」を策定した影響もあり、学校支援ボランティア活動への関心が年々高まっている。
2、「多様な特色ある教育活動」が増加し、それに伴い来校者も増加し、「開かれた学校づくり」の推進に役立っている。
3、地域内の旧住民と新住民とが、共に学校支援ボランティア活動に取り組むことにより、地域内の繋がりが拡大・強化されてきている。
4、児童生徒の規範意識が、向上している。
2)課題
1、学校により、学校支援ボランティアの登録者数、活動件数に多寡がみられる。
2、小学校と比較し、中学校の活動にやや停滞感がみられる。
3、児童生徒の側から、「地域を支援する」ボランティア活動を活発にしていくことも必要である。
4、学校支援ボランティア活動登録者と教職員のボランティアに関する意識に差がある。
【宮城県仙台市】
(1)学校における生ごみ処理等について
1)学校から排出される生ごみは、学校給食の残渣が多くを占める。
2)学校給食の残渣
1、環境施策として、仙台市環境基本計画(杜の都環境プラン)に基づき、資源回収され再資源化するべく取り組んでいる。
2、一方で、学校給食においては、おいしい給食の提供や、各学校レベルでの食育学習や指導により、残食抑制に取り組んでいる。
3)仙台市における給食残渣の処理方法
1、仙台市堆肥化センターへ搬入し、堆肥化して再利用を図っている(公共事業、学校、町内会等で活用)。
2、養豚業者による回収
3、生ごみ処理機で処理、ただ、従前よりは設置数が減少している。
4)学校における生ごみ処理機の活用及び現状
(活用)
1、作物を育て収穫し、食べる等の食育学習に供す。
2、リサイクルなど環境学習の用に供す。
3、地域交流の促進に役立てる。
(現状)
1、日常管理やメンテナンス費用の負担に、一台当たり年間多い場合には、20万円もの保守点検費用が必要とされるのが、難点。
2、継続的な取組みの困難性が指摘される。それは、取組みを行う学校職員の資質や負担の多寡により、それが教育効果に相当程度の影響を与えるからである。
(2)「せんだいスポーツ元気プラン」について
1)計画策定の趣旨
一人ひとりのスポーツライフの支援を目的とするもので、それは以下の背景による。
21世紀の私たちは、物質的豊かさの追求を脱して、生活の質の向上を目指して、心の豊かさを求めるなど、いろいろな面で価値観が変わりつつあります。
そんな時代背景のもと、既存のスポーツだけでなく、手軽な散歩や野外活動も含めた身体活動全般、さらには、「行う」スポーツだけではなく、「みる」スポーツ、「ささえるスポーツ」等、スポーツを巡る自発的な諸活動によって楽しさを味わうことも含め、スポーツを広く捉える新しいスポーツ観を提案している。
2)計画の基本目標
スポーツは、普段の生活に溶け込み、私たちの身のまわりにいっぱいです。
いろいろなスポーツ活動やスポーツとの関わりを「行う」「みる」「ささえる」に分け、それぞれに目標(基本目標)を定めます。そして、「参加」「協働」「共有」をキーワードにした、次のような構想を提案します。
いつでも、だれもが、どこでも、いろいろと「行う」「みる」「ささえる」スポーツ。
【岩手県一関市】
(1)自主防災リーダー育成事業
1)自主防災組織の育成の現状と課題
1、災害対策基本法第5条第2項によって、自主防災組織は組織されている。
2、代表的な組織に、自主防災会、婦人消防協力隊、幼少年消防クラブが挙げられる。
3、その基本理念
自助「自分の命は自分で守る」、共助「自分たちの地域は自分たちで守る」
4、課題
【1】地域における自主防災組織の結成率に少なくない差異が生じているので、市全域での自主防災組織の結成率を向上させること。
【2】地域の防災に関する人材が不足していること。
【3】地域の防災に関するハード面での整備が、遅れていること。
【4】自主防災組織が、どのような活動をしていいのか分からないので、有効な活動メニューを提供すること。
(2)洪水ハザードマップ
1)作成の背景
同市は、昭和20年代に、カスリン台風、アイオン台風の来襲により、北上川が氾濫し、大きな被害を蒙ったことがある。
それは、北上川狐禅寺地区から宮城県境にかけて約26kmの狭窄部があることと、狐禅寺地区から石巻の河口までの約80kmに対し、高低差が約8m前後しかなく、極めて緩やかな勾配となっていることが原因である。
2)1960年代以降
治水効果が現れ、1960年代以降の洪水は大幅に、減少している。
3)一関遊水地事業
一関遊水地は、北上川の狭窄部直上流に位置している地形的特殊事情から、治水安全度並びに地内の土地利用を考慮し、周囲堤及び小堤の二線堤による河川改修を行い、中小洪水を防御するとともに、大洪水時の調節効果を増加させるものとして、有効なものと考えられる。
4)洪水ハザードマップの作成状況
現一関市は、7市町村が平成17年9月20日に合併して、新たに発足したものである。
その中で、指定水防管理団体であった市町村は以下の通り。(カッコ内は洪水ハザードマップ公表年月)
・一関市(平成9年9月)
・花泉町(平成12年3月)
・東山町(平成11年8月)
・川崎村(平成11年8月)