1)所在地
愛知県豊田市和合町田螺池245−1。同所は、最寄駅の名鉄豊田市駅からでも、車で約50分はかかる山間の地にある。
2)内容
下山バークパークは、『ウッドチップリサイクルシステム』やビオトープを通して、循環型社会に向けた“環境との共生”を実体験として学べるフィールドである。
したがって、リサイクル現場および活用事例の循環技術研修の場として、また子ども向けの自然体験学習、自然とふれあう憩いの場として、幅広く活用できる施設である。
なお、バークとは英語のbarkのことであり、「樹皮」を意味する。
3)『ウッドチップリサイクルシステム』とは
上記『ウッドチップリサイクル』とは、昭和58年に、将来の林業の活性化をはかるため、若手後継者の育成を目指し、「中部は一つ」を合言葉に設立された、「中部森林開発研究会」によって実践されている事業である。
同研究会は森林を通じての環境保全を目指し、伐採工事、剪定工事、工事現場などから発生する樹木廃棄物を100%有効活用する、『ウッドチップリサイクルシステム』事業を行っている。このシステムによって、今まで焼却処分されていた不用材や低質材を破砕してチップ化することで加工・有効活用することができ、資源として自然に還すことができる。これは、完全循環型社会とゼロ・エミッションを追求する、無公害のシステムである。
こうして、廃材を貴重な資源として有効活用し、作業のコストダウンを図ることができるようになった。
これにより、従来の「生産→消費→廃棄」のサイクルではなく、「生産→消費→再資源化→生……」のサイクルが繰り返され、“サスティナブルコミュニティ(半永久的に持続可能な社会)”の構築を目指すことができるようになった。
4)中部森林開発研究会
明治時代、江戸時代、もっと遡っても、かつての日本は環境循環型社会であった。人は、山と川と森とともに生きてきたのである。しかし、時は流れ、高度な文明社会となり、多くの自然が失われてしまった。
今でこそ環境に配慮して、自然を保全していこうという考えが広く浸透してきたが、1983年に同研究会が設立された当時の日本は、まだその機運がなかった。しかし、それを醸成するために、森林事業の発展を願う会社が集まり、中部森林開発協会が設立された。
そこでは、会員相互が密接な連携を図り、森林事業の発展に尽くすとともに、会員相互の健全な経営と技術の向上を図ることなどが目的とされている。
その思想は、たんに森林を守ろうというものではなく、自然との共存共栄を保ちながら森林保全につなげようという考えをもとにしている。
そこで、同研究会は、森林に人が入って森を管理することが環境保全につながると考える。昔は肥料が必要になったら、森林に腐葉土を取りに行き、薪が欲しいときは、山に柴刈りに行ったものである。こうして、人と山とは互いに共生していたのである。
つまり、森林という共有財産を有効活用することで、自然との共存共栄を図っていたのである。
そこで、日本の国土を守って将来、次の世代に資源をバトンタッチしていくために、日本の森林の管理・保全を通じて環境を守っていく必要があると同研究会は考えるのである。
このような考えにいたるきっけかは、1970年代のオイルショックの時であった。当時牛舎で糞尿の処理に使うおがくずが不足していた。そこで、細すぎて使い物にならなくなった木をおがくずにすることで、有効活用することを同研究会会長が思いつく。
こうして、役立たずの低質材に付加価値を付与することに成功した。それによって、山林の林業の担い手に所得をもたらすことができるようになった。そのまま放っておけば単なるゴミに過ぎないものが、活用することで、山も人も活力をつけることができるようになることをこのとき知らされたのである。
この考えを基にして、同研究会では、全国に先がけ、1990年代にウッドチップリサイクルシステムを始めた。
5)バークブロワ工法
この工法は、現場発生財を現地でチップ化し、それを使うため、現場からの持ち出しをせず、現場内でのリサイクルが可能となっている。
こうして、廃棄物を資源として、有効に活用することができる。
この工法は、機械設置場所から延長約200m、高低差約70mまでの範囲でチップを散布することが可能である。また、トラック積載型なので、車輌を移動させるだけで、プラント等を組み立てることなく施工が可能で、工程の調整などに柔軟に対応することができる。
6)フィルターソックス工法
現場で破砕したウッドチップを「バークブロワ」を用いて「フィルターソックス」というメッシュ状のネットに充填し、土留め、小規模小堤、濁水ろ過フィルター、土壌の侵食防止等様々な用途に使える工法である。
7)ウッドチップ樹脂舗装
チップロードに、ウレタン樹脂を散布して、固めた舗装である。チップを固めるためチップの飛散がなく、車椅子や乳母車などの通行が容易になり、 また水はけがよいので、雨天でも水溜まりが出来難い舗装となる。