1、『岡山市市民協働による自立する子どもの育成を推進する条例』
1)愛称を「岡山っ子育成条例」という。
2)平成19年4月1日施行
3)構成
前文、第1章 総則、第1条(目的)、第2条(用語の定義)、第3条(基本理念)、第2章 家庭、学校園、地域社会、事業者及び市の責務、第4条(家庭の責務)、第5条(学校園の責務)、第6条(地域社会の責務)、第7条(事業者の責務)、第8条(市の責務)、第3章 子どもの安全確保に関する責務、第9条(子どもの安全確保に関する家庭、学校園及び地域社会の責務)、第10条(子どもの安全確保に関する市の責務)、第4章 市が推進する施策、第11条(家庭教育への支援)、第12条(学校園の教育環境の充実)、第13条(地域社会への支援)、第14条(事業者の理解及び協力の推進)、第15条(子どもの自主活動への支援)、第16条(相談体制の充実)、第17条(自立する子どもの育成に関するネットワークの推進)、第18条(市民の理解及び協力)、第5章 推進のための取組、第19条(行動計画の策定)、第20条(推進会議の設置)の以上、5章20条からなる条例である。
4)内容
第1章、市民協働で「自立する岡山っ子」を育てる。
第2章、家庭、学校園(学校と幼稚園)、地域社会、事業者、そして、市は、それぞれの役割を果たしながら、お互いに助け合って、子どもの自立に向けた取組を進める。
第3章、みんなで、事故、犯罪、非行、いじめ、虐待などから子どもを守る。
第4章、市は、市民協働で「自立する子ども」の育成を推進できるよう取り組んでいく。
第5章、条例が生きて働くために、行動指針と行動計画をつくる。
5)条例制定の背景
1、平成13年10月に出された、岡山『人づくり』プランに、「自立する子ども」の育成を目指すことが盛り込まれた。
2、学校評議員制度の導入(平成15年)
3、地域協働学校づくり(岡山型)(平成16年)
中学校区を単位としたコミュニティスクール構想により、「地域の子どもは地域で育てる」が標榜される。
4、市民協働の人づくりに関する調査(平成17年)により、8割以上の大人が、家庭の教育力の低下を認識している。その理由として、親の無関心、過保護、子育ての孤立化、親の多忙化による子どもとのふれあいの減少が指摘された。
それと相俟って、学校や教職員への期待は、質の高い授業を中心に多岐にわたっている。
また、子どもを取り巻く環境の変化に伴い、育児放棄や児童虐待の増加、子どもによるいじめや凶悪化する犯罪の増加がみられた。
そこで、大人一人ひとりが子どもたちの教育に責任をもって取り組む必要を感じ、岡山っ子育成条例の策定が提案された。
6)条例制定の目的
「岡山『人づくり』プラン」の法的根拠を確立することにより、「市民協働の人づくり」の理念の周知徹底を図るとともに、その実現に向けての取り組みを促進する。
7)条例制定で期待される効果
1、基本理念の共有化を図り、市民総意の自主的な取組みが推進される。
2、役割と責任の明確化を図り、家庭・学校園・地域社会・事業者が本来もっている教育力を向上させることができる。
3、行動計画と行動指針により、実効ある展開が、望める。
8)策定までのスケジュール
平成17年に、教育行政審議会に諮問し、同審議会の中間報告を受けて、パブリックコメントを募る。また、シンポジウムも開催し、市民の意識喚起に努める。平成18年に同審議会の答申を受け、同年の議会に上程され、議決をされる。
それを受け、翌年の平成19年に「岡山っ子育成条例」は施行された。
9)行動計画と行動指針
行動計画…条例の趣旨を総合的及び計画的に推進するため、市として推進する施策をあげたもの。
行動指針…家庭・学校園・地域社会・事業者がそれぞれの立場から、主体的に行動するための具体的な目安となるもの。
10)成果と課題
1、それぞれの課独自の取組みという意識から、全庁的な取組みの意識へと変化をもたらした。
2、「岡山っ子育成条例」について、さらなる広報・啓発活動の必要性を痛感させられた。
11)推進会議の設置
第20条にあるように、市は、市民協働による自立する子どもの育成を推進するため、推進会議を設置することが決められた。
12)先進事例
石川県金沢市の条例を先進事例とした。
13)周知
パンフレットを3万部印刷し、公立・私立の幼稚園、保育所、小学校、中学校の入学式、入園式で、保護者に手渡しをし、周知に努めている。