2011年5月9日から11日にかけて行われた、町田市議会建設常任委員会の行政視察報告書を掲出します。
【視察先】神奈川県鎌倉市、長崎県諫早市、長崎県佐世保市、佐賀県鳥栖市の4市でした。
【調査事項】環境政策について、清掃政策について、公園・緑地政策について、でした。
視察所感
【鎌倉市】「鎌倉市携帯電話等中継基地局の設置等に関する条例」について
当市の視察目的は、鎌倉市条例第20号「鎌倉市携帯電話等中継基地局の設置等に関する条例」に関して調査することにあった。
同条例が制定された経緯は、平成17年に鎌倉市議会に宛てて、携帯電話基地局設置に関して、それを設置させないことを目的とする陳情があったことに端を発する。同陳情は、翌年取り下げられた。
再び同趣旨の陳情が以前の陳情者とは異なる市民より寄せられ、それが、鎌倉市議会平成20年第3回定例会において全会一致で採択され、平成22年4月1日に同市条例として施行された。
その条例とは、下記のとおりである。
鎌倉市携帯電話等中継基地局の設置等に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、携帯電話等中継基地局の設置等に伴う住環境をめぐる紛争が生じていることにかんがみ、事業者が近接住民等に対し事前に携帯電話等中継基地局の設置等について説明する責任を明確にし、もって市民と事業者との紛争を未然に防止することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 携帯電話等中継基地局 携帯電話端末、PHS端末その他これらに類するデータ通信用の機器相互間の通信を中継する送受信兼用の設備(主として屋内又はトンネルの通信状況を改善するためのものを除く。)をいう。
(2) 事業者 携帯電話等中継基地局の設置又は改造(当該携帯電話等中継基地局の形状又は出力を変更することをいう。以下同じ。)をしようとする携帯電話等通信会社をいう。
(3) 近接住民 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める者をいう。
ア 既存の建築物に携帯電話等中継基地局の設置又は改造(以下「設置等」という。)をするとき 設置等をする携帯電話等中継基地局からの水平距離が当該携帯電話等中継基地局の地上からの高さの2倍以内において、土地を所有する者又は建築物の全部若しくは一部を所有し、若しくは占有する者(以下「土地所有者等」という。)であって、当該建築物の敷地に隣接する土地の土地所有者等であるもの
イ ア以外のとき 設置等をする携帯電話等中継基地局からの水平距離が当該携帯電話等中継基地局の高さ(既存の電柱等に設置等をするときは、地上からの高さ)の2倍以内における土地所有者等
(4) 地縁団体 近接住民の属する地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に規定する地縁による団体をいう。
(市の責務)
第3条 市は、近接住民及び地縁団体(以下「近接住民等」という。)と事業者との紛争を未然に防止するための施策及び紛争の調整のための施策を実施するものとする。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、携帯電話等中継基地局の設置等をしようとするときは、近接住民等の意見を聴き、紛争の防止に努めなければならない。
2 事業者は、携帯電話等中継基地局の設置等をしようとする場合において、近接住民に学校、児童福祉施設その他の施設で規則で定めるものの土地所有者等が含まれるときは、当該施設の管理者の意向を尊重するよう努めなければならない。
(近接住民等の責務)
第5条 近接住民等は、事業者による説明について検討を行い、紛争の防止に努めなければならない。
(計画書の提出)
第6条 事業者は、新たに携帯電話等中継基地局の設置等をしようとするときは、当該設置等の工事に着手する日の60日前までに、規則に定めるところにより、当該設置等の工事の計画書を市長に提出しなければならない。
(近接住民等への説明等)
第7条 事業者は、前条の計画書の提出後、規則に定めるところにより近接住民及び地縁団体を代表する者に当該設置等の工事の計画の概要を説明し、周知に努めるとともに、近接住民等の理解を得るよう努めなければならない。
2 事業者は、前項の規定により近接住民に説明したときにあっては近接住民説明実施報告書を、地縁団体を代表する者に説明したとき又は説明会を開催したときにあっては地縁団体説明実施報告書を規則で定めるところにより、市長に提出しなければならない。
(報告書の開示等)
第8条 市長は、前条第2項の近接住民説明実施報告書の開示を当該近接住民から求められたときは、これに応じるものとする。
2 市長は、前条第2項の地縁団体説明実施報告書の提出があったときは、規則で定めるところにより、当該地縁団体説明実施報告書を一般の閲覧に供するものとする。
(紛争の調整)
第9条 市長は、近接住民等と事業者との紛争が生じたときは、鎌倉市建築等に係る紛争の予防及び調整に関する条例(平成12年3月条例第32号)に基づき、あっせん又は調停を行い、当該紛争の調整に努めるものとする。
(勧告)
第10条 市長は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、計画書の提出その他必要な措置を講ずることを勧告することができる。
(1) 第6条の規定による計画書の提出をせず、又は虚偽の記載をした計画書を提出した者
(2) 第7条第2項の規定による近接住民説明実施報告書又は地縁団体説明実施報告書(以下これらを「報告書」という。)の提出をせず、又は虚偽の記載をした報告書を提出した者
(委任)
第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付 則 抄
(施行期日)
1 この条例は、平成22年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
(経過措置)
2 施行日前に設置等の工事に着手した携帯電話等中継基地局については、この条例は、適用しない。
本条例は、全国的にみてもきわめて珍しいもので、1条にある、「事業者が近接住民等に対し事前に携帯電話等中継基地局の設置等について説明する責任を明確に」することを目的としている。
このような、条例が制定された理由として、鎌倉市には谷戸が多く、平地が少ないという地形的な特徴も与っているものと認識した次第である。
【諫早市】県央県南クリーンセンターについて
長崎県では平成11年3月に「長崎県ごみ処理広域化計画」を策定し、県域を7つのブロックに分けた。そのうち、県央・県南ブロックとして、諫早市、大村市、島原市、北高4町、南高全町と多良美町の3市21町とで県の方針の説明を受けたが、大村市は参加せず、南高南部6町は建替計画が進んでいたため、2市15町で小ブロックを設け、「厳しくなるダイオキシン類排出対策や、経済的で効率的な運営方法などのごみ問題を一緒に考えよう」ということで協議を重ね、ごみ処理施設建設に関する事務を協働処理するため、平成11年4月に県央・県南広域環境組合を設立した。
1、施設の特徴
県央・県南クリーンセンターは、ごみを適正処理することはもちろん、広域化の利点を生かし、ダイオキシン類の徹底削減と高い環境性を達成する施設である。
この施設は、ごみを溶融し熱分解ガスを発生させ、急速冷却したガスを回収する。
2、建設請負業者等
建設請負業者:JFEエンジニアリング(株)九州支店
請負金額:14,700,000千円(消費税込み)
施設規模:300t/24時間(100t/24h・炉×3炉)
処理方式:ガス化改質方式(JFEサーモセレクト方式)
発電方式:ガスエンジン(1,500kw×5基)
3、機種選定
焼却炉の機種の選定については、構成自治体の長4名で構成する機種選定小委員会において、方式を大きく分けて「焼却+灰溶融方式」と「熱分解ガス化溶融炉方式」のどちらの方式にするかを委員会で協議がなされ、最終的に排ガス量が少なく、環境面、先進性の面で優れているとの評価を与えた「熱分解ガス化溶融炉方式」に決定された。
これを受け、長6名で構成する指名審査委員会で、1日100t以上の実稼動施設の建設実績または受注実績のある6業者が選定され、平成14年10月指名競争入札を行った結果、当時の川崎製鉄、現在のUFEエンジニアリング株式会社が落札し、結果としてガス化改質方式となった。
【佐世保市】佐世保方式家庭系2段階ごみ有料化制度について
1、佐世保方式家庭系2段階ごみ有料化導入の経緯について
当市において、人口が減少しているにも拘わらず、ごみの量が年々増加し、それに伴うごみ処理経費も増大しているため、ごみの減量化を主目的として導入を検討した。
家庭系一般ごみについて、たくさんごみを出しても無料という前制度のままでは、ごみを減らそうという市民の意識は高まらず、ごみが増え続けると考えられる一方、有料化した場合は、ごみを減らそうという市民の意識が働き、ごみの減量化・資源化のための分別・資源化の取り組みがより期待できる。
また、ごみを大量に出す人とごみの減量化・資源化に努め少量しかごみを出さない人の公平性についても確保できるため、平成17年1月より2段階有料化制度を導入するに至った。
その後、更なる住民満足度の向上を目指し、制度の事業評価を実施し、その結果、出された課題解決のため、平成21年1月から制度を一部改正した。
2、2段階ごみ有料化制度について
1)一人当たりの無料分の算出根拠について
制度導入当初は、減量目標を達成するため、最初に一定枚数(市民一人当たり年間60枚)の無料ごみ処理券を配布し、指定ごみ袋に貼ってごみを出す方式を採用してきた。
平成21年に制度の一部が改正されて、市民一人当たり5枚の指定袋無料補助券を配布するようになった。
2)処理手数料の使途について
ごみ有料化で得られた手数料収入は、これからの環境政策に役立てることとしている。
ごみ減量化・資源化を推進するための施設整備、地域の環境保全、環境教育の充実など、美しい自然環境と限りある資源を次世代に引き継ぐための環境施策に役立てている。
※予算上は、資源集団回収事業などの事業に充当している。
3)指定ごみ袋購入補助券の配布方法について(住民票を移していない人への対応等)
規則において、「市内に居住し、原則として住民基本台帳法による住民基本台帳に記載のある者又は外国人登録原票に登録のある者の世帯に対し、補助券を配布するものとする。」としており、原則として住民票を移していない人に対しては、補助券を配布していない。
配布方法については、原則として住民基本台帳及び外国人登録原票データを基に、毎年11月ごろ、各世帯ごとに所定枚数(無料補助券5枚×世帯人員)を配布している。
また、転入者、新生児に対する無料補助券については、届出月を含む残余月分を配布している。
4)子どもがいる世帯や高齢者世帯への配慮について
寝たきりの高齢者、重度身体障害者、乳幼児等の紙おむつについては、ごみ減量の努力ができないことから、指定ごみ袋以外の透明な袋でもごみ出しができるように配慮している。
3、ごみの出し方について
・有料化開始当初の「指定袋とシール方式」について
当初導入した有料化の方式は、シール制による佐世保方式2段階有料制度というものであり、はじめに市民一人当たり年間60枚の無料ごみ処理券(シール)を全世帯に配布し、なくなったら、有料ごみ処理券(シール)を購入するという方法であった。
しかし、ごみを出す際、「指定ごみ袋にシールを貼るのが手間、面倒だ」といった意見があり、また「指定ごみ袋を厚くしてほしい、取っ手付き袋が便利」といった声があったことから、平成21年1月に2段階有料化制度の基本的な考え方を堅持したまま、ごみ処理券を廃止し、指定ごみ袋購入補助券の創設を実施し、現制度の袋引換券方式2段階有料化制へ変更した。
【鳥栖市】鳥栖市における「サガン鳥栖」の支援方法について
1、サガン鳥栖について
Jリーグへの加盟:1999年J2リーグに昇格
2、鳥栖スタジアムについて
所有者:鳥栖市
管理者:財団法人鳥栖市地域振興財団(指定管理者)
建設年:1996年
建設費:69.5億円※用地費30.8億円
収容人数:25,000人
ネーミングライツ:愛称は「ベストアメニティスタジアム」(2006年〜)
3、サガン鳥栖支援の取り組みについて
ハード面
・ベストアメニティスタジアムの優先使用
・スタジアム北部グラウンド・鳥栖市陸上競技場の優先使用
ソフト面
・年間チケットを職員等へ斡旋
・職員応援デーの実施
・応援バスツアーの実施
・鳥栖市民デーの開催
その他の支援
・平成20年度に、300万円を出資(佐賀県と同額)