視察所感
1、淡路夢舞台
1-1、淡路夢舞台とは
淡路夢舞台を運営する株式会社夢舞台は、平成7年3月28日に設立されたものであり、その所在地は兵庫県淡路市夢舞台1番地にある兵庫県立淡路夢舞台国際会議場内にある。
なお、その設立は、同年1月17日に発生した阪神淡路大震災によって、当初の設立時期からは遅れたとのことである。
同社の形態は、第三セクターであり、資本金15億855万円で、うち兵庫県(企業庁)が12億5,000万円を出資している(出資比率82.86%)。
その株主数は、62社(平成23年7月1日現在)であり、個人からの出資は行われていない。
1-2、淡路夢舞台の主な業務
(1)「淡路夢舞台」及び「ハイウェイオアシス」における収益施設の運営、管理。すなわち、ウェスティンホテル淡路、レストラン&ショップ等がそれに該当する。
(2)「淡路夢舞台」及び「ハイウェイオアシス」における県立施設の運営、管理。すなわち、国際会議場、温室、野外劇場、展望テラス(含む百段苑)、灘山緑地、駐車場等が該当する。
(3)その他関連業務として、随時実施するイベントがそれに該当する。
2、淡路夢舞台概要
「淡路夢舞台」は、「淡路島国際公園都市」の中核施設として誕生したものであり、建築家、安藤忠雄氏のグランドデザインによる施設群である。なお、淡路夢舞台は、関西国際空港などを築くために土砂を採取した跡地に、その有効利用のために設立された。
それは、一度は人間が壊した自然を本来の姿に戻し、様々な動物や植物が人と共生できる空間を、隣接する淡路島国営明石海峡公園とともに創造したものとしてある。
淡路夢舞台は、かつて「灘山」と呼ばれ、東浦町大磯と淡路町鵜崎(淡路町と東浦町を含む旧津名郡5町は、2005年4月1日に合併し、淡路市となったが、当時の町名を用いる)の両地区にまたがる里山として、人々に親しまれていた場所であった。
しかし、1963年から1994年までの32年間にわたり、上記のように関西国際空港など大阪湾ベイエリアの埋め立て土砂の採取場として利用され、その姿は大きく変容させられた。その土砂は、約1億?にも達し、139haもの自然が失われた。
そこで、土砂採取場跡地に剥き出しとなった12haもの斜面地の緑化が大きな課題となり、失われた自然を取り戻し、国際会議場やホテル、展望テラス、温室、野外劇場、レストラン、淡路島国営明石海峡公園など、多様な交流施設を備えた森の中の国際交流拠点として、国と兵庫県が連携し「淡路夢舞台」は整備された。
その際、荒れた大地に甦る緑と花、そして豊かな海が織りなす自然、これらと交流施設群とが調和する“環境創造ミュージアム”を目指した。
採掘跡地を花と緑で甦らせる際には、カナダのブリティッシュコロンビア州ヴィクトリアにあるブッチャートガーデンをモデルにした。同ガーデンは、20世紀のはじめに、荒涼としたセメント工場の石灰岩の採取場に、同工場主であったブッチャート氏のジェニー夫人が、花や木を植えたことに由来する。
ブッチャートガーデンは、その後100年にわたって、世界各地から集めた花や木で庭園化され、現在のブッチャートガーデンは、カナダもしくは北米西海岸で最も有名な鑑賞庭園として、世界中から毎年100万人近くの人々が訪れ、美しい花やエンターテインメントを楽しめる一大観光地となっている。
緑の復元を目指し、さらに壮大なランドスケープに溶け込むように施設群を整備した世界でも類のないプロジェクトであり、兵庫県では、“環境の世紀”といわれる21世紀に相応しい事業として、現在も環境整備に努めている。
3、施設利用状況の推移
(1)国際会議場 会議開催状況
18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
国際会議 43 40 42 36 42
国内会議 208 213 193 236 210
その他 73 61 40 33 27
合計 324 314 275 305 279
(2)国際会議の開催件数(平成21年1月1日〜12月31日)
日本政府観光局(JNTO)が取りまとめた国際会議統計では、夢舞台国際会議場は25件の会議を開催し、全国8位に位置づけられた。これは、都市型の大型会議場が多い中、唯一のリゾート型会議場として健闘しているといえよう。ちなみに、上位3会議場は、下記のとおりである。カッコ内は、内数。
1、パシフィコ横浜(91) 2、つくば国際会議場(47) 3、国立京都国際会館(44)
(3)主な会議
・第32回 日本肥満学会(平成23年9月)
・淡路花博10周年記念事業 ノーベル賞受賞者による「子どもたちの未来へ〜自然と科学」フォーラム(平成22年3月)
・神戸淡路鳴門自動車道全通10周年記念フォーラム(平成20年4月)
・第52回宇宙科学技術連合講演会(平成20年11月)
・近畿ブロック知事会議(平成18年11月)
・2002年サッカーW杯 イングランドチームメディアセンター(平成14年7月)
・Inter Action Council/OBサミット(平成13年5月)
・全国知事会議(平成12年7月)