議員提出議案第21号 「不活化ポリオワクチン等の定期接種に関し、公費負担の見直 しを求める意見書」
先般、国は、本年9月から生ポリオワクチンの使用を中止し、副作用のない不活化ポリオワクチンを導入すること、さらに11月からはジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオワクチンの4種混合ワクチンを導入することを決定したことで、ポリオワクチンの有効性と安全性が高まることとなった。
また、不活化ポリオワクチン導入後は、多くの市町村で集団接種から個別接種へと切り替わることとなるため、通年接種が可能となり、より安心して接種が受けられるとともに、接種機会についても拡大することとなった。
しかし、不活化ポリオワクチンは、生ポリオワクチン単価(300円程度)や他の不活化ワクチン単価に比べて、非常に高額なもの(5,450円希望小売価格)となるため、市町村の財政に大きな負担を招来させることとなる。
さらに、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会が取りまとめた予防接種制度の見直しに向けた第二次提言においては、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの任意接種3ワクチンを定期予防接種に移行することを視野に入れ検討している。
この任意接種3ワクチンの接種については、平成24年度までの3年間の緊急事業で、費用の9割は公費負担として、国と市区町村が折半するかたちで負担し、残りの1割を保護者に接種費用として一部負担をいただいている状況である。
一方、定期予防接種は、ほとんどの市町村で無料にて実施しているが、この任意接種3ワクチンが定期予防接種に加わると、国からの「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金」はなくなり、市町村の負担はさらに増加することが確実な状況である。
よって国においては、市町村に負担をかけることなく、国の財政支援を明確にした上で、新たな定期予防接種制度を早期に確立されるよう強く要望する。
記
1.予防接種については、国民への接種が市町村の財政基盤や個人の経済状況による格差を生じさせることがないよう、既存の予防接種を含めて国の責任において財源を地方交付税によることなく保障する措置を講じること。
また、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンなど新たな予防接種制度を定めるにあたっては、十分な準備期間を設けて、各自治体との合意を得ながら進めること。
2.市町村の公費助成や法定接種化に伴う費用負担が急激に増加することのないよう、国において市町村負担軽減のための十分な財政支援を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。