町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

2013年 文教社会常任委員会 行政視察報告書議員活動

2013.04.24(水)

 2013年4月15日から17日にかけて行われた、町田市議会文教社会常任委員会の行政視察報告書を掲出します。

【視察先】愛知県半田市、三重県伊勢市、愛知県刈谷市の3市でした。

【調査事項】1,文化・スポーツの振興について、2,義務教育の整備、充実とその質的向上について、3,社会教育の振興について、でした。

【視察所感】
調査事項:半田市、文化・スポーツの振興について
視察内容:総合型地域スポーツクラブ育成の取り組みについて

1、半田市における総合型地域スポーツクラブ育成の取り組みの経緯
 平成6年度より、成岩地区において学校と地域の自発的な取り組みとしてのクラブづくりが始まる。
 平成7年度には、成岩地区少年をまもる会が、文部省(当時)の指定を受け、「総合型地域スポーツ育成モデル事業」の推進母体となる。
 平成8年3月には、成岩スポーツクラブが設立される。
 平成10年度には、スポーツクラブの全市展開を開始した。その核として半田スポーツ健康推進協議会を設置し、戦略プランを展開したが、その財源は、文部省委嘱事業「子ども遊悠プラン」によるものである。
 平成11年には、亀崎中学校区にスポーツクラブを設立。
 平成12年度には、青山中学校区に青山スポーツクラブを設立。
 平成13年度には、乙川中学校区に乙川スポーツクラブを設立。
 平成14年度には、半田中学校くに半田地区スポーツクラブを設立。
 これらのことにより、市内5中学校区すべてにスポーツクラブが設立された。

2、各スポーツクラブへの補助金交付額
 成岩スポーツクラブのみ、29,400千円が交付されているが、それ以外のスポーツクラブには各11,400千円で、合計750,000千円交付された。

3、スポーツ振興計画における位置付け
(1)平成14年3月策定、平成19年3月改定の第1次「半田市スポーツ振興計画」では、平成22年度までの政策目標を次のように掲げた。

1)スポーツ実施率(恒常的に週1回以上スポーツをする人の割合)の向上
高齢者の50%を含む、成人市民50%の達成。

2)総合型地域スポーツクラブへの加入率の向上
 小中学校の60%以上を含む、市民加入率20%の達成。
 以上を踏まえて、平成23年度のスポーツ実施率は、45.33%。平成22年度の総合型地域スポーツクラブへの加入率は、8.2%。

(2)第2次「半田市スポーツクラブ振興計画」
 平成22年度に、「第2次半田市スポーツ振興計画 エンジョイ!!SPORTSはんだプラン」を策定。
 基本理念は、だれでも、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しめるようにすることである。
実施計画
計画1 活動プログラムの充実
計画2 スポーツ情報の充実
計画3 スポーツ施設の整備・活用
計画4 スポーツ振興審議会の設置
計画5 総合型地域スポーツクラブ活動の充実

4、総合型地域スポーツクラブ
 5つのスポーツクラブがあるが、それぞれの地域性に依存しているため、その態様は一様ではなく、次にみられるような特色がある。
「成岩スポーツクラブ」一般会員の割合が高い
「スポーツクラブYOUKI」小・中学生会員の割合が高い
「青山スポーツクラブ」一般会員の割合が高い
「乙川スポーツクラブ」小・中学生とともに高齢者の割合が高い
「半田地区スポーツクラブ」高齢者とともに幼児会員の割合が高い

5、所感
 町田市においても、スポーツを「みる」「する」「支援する」ものとして積極的に支援することになっているので、それらの施策を展開する際に、その充実に資するものとして、幼児期からスポーツに親しむ体制を整備するこの施策は、町田市にとっても有意義なものであると考えた。

調査事項:伊勢市、義務教育の整備、充実とその質的向上について
視察内容:いじめ・不登校対策について

1、当市では、教諭の教科学習の時間を短縮化して、その結果創出された時間をいじめ対策へと振り向けることによって、いじめ撲滅に資することとしている。その代わり、教科学習の時間を確保するため、非常勤の講師を増員しているとのことである。

 これは、市長のリーダーシップのもとにおこなわれ、その結果、児童・生徒が学校内で落ち着いてきたように見受けられるとのことである。

2、当市では、平成23年度において、不登校児童・生徒が60人おり、そのうち、25人が伊勢市教育支援センター「NEST」に通っている。その結果、4人が学校に復帰することができ、20人は部分登校が可能となった。このことによって、「NEST」は教育支援に大きな効果を発揮したものと考えることができる。

3、当市では、学級集団アセスメントとして、不登校やいじめの防止、あたたかな人間関係づくりに資するとされる、hyper-QU(よりよい学校生活と友達づくりのためのアンケート)とQ-U(楽しい学校生活を送るためのアンケート)を実施している。両者はともに、著者は河村茂雄(早稲田大学教育・総合科学学術院)教授によるものである。

 Q-Uは、二つの尺度(学級満足度尺度・学校生活意欲尺度)に、ソーシャルスキル尺度を加えた3つの尺度で診断している。

4、子どもリレーションシップ総合推進事業
事業の位置づけ:人権を守り、教育・文化が薫るまちづくりプロジェクト、心プロジェクト
予算額:46,435千円
事業期間:平成22年度から同27年度

事業目的
・児童生徒が安心して過ごすことができる学校づくりのもととなる、「いじめ」を出さないよりよい集団づくりについて研究推進する。

・教職員全員が「いじめ」「不登校」の実態把握をすると共に、いじめ問題に対する理解をより深め、未然防止、早期発見・早期対応について調査研究を進め、その成果を教職員・保護者が共有する。
事業内容
・「いじめ」「不登校」の早期発見・早期対応・未然防止のために「子どもの人間関係づくり」の研究を行う。

・全小中学校においてよりよい学校生活と友達づくりのための教育心理検査を実施し、その分析に基づき児童生徒が安心して過ごすことができる学級集団づくりのための取り組みと検証を行う。

・各校に非常勤講師を配置し、研究体制の強化を図る。

5、不登校対策ハーモニーハート総合推進事業
事業の位置づけ:人権を守り、教育・文化が薫るまちづくりプロジェクト
予算額:4,940千円
事業期間:平成25年度から同27年度
事業目的:誰もが安心して生活できる居心地のよい学校づくりをすすめ、登校しぶり、ひきこもりや、学校に行きたくても行けない児童生徒の社会的自立を目指した学校復帰を支援するとともに、不登校の未然防止に取り組む。

事業内容
・自然体験活動や社会体験活動を通じ、不登校児童生徒の活動意欲及び人間関係能力向上を支援する。

・教職員対象の研修会だけでなく、保護者を対象とした研修会も開催し、教職員の専門性を高めるとともに、保護者の支援や意識の向上を図る。また、不登校未然防止の手引きを作成・配布することで、学校・家庭の両面から、不登校児童生徒支援の取り組みを行う。

・研究指定校において、不登校対策や未然防止を目的に、誰もが安心して生活できる居心地のよい学校づくりに向けたネットワーク等の研究を行う。

・「子どもリレーションシップ総合推進事業」や「スクールサポート事業」など、関連する他の事業と連携して、児童生徒の社会的自立に向けた学校復帰や不登校の未然防止に総合的に取り組む。

6、教育相談
 「スマイルいせ」という電話による教育相談を行っている。そこでは、子育ての悩みや不安、不登校、いじめ、友人関係、学習のことなど、気軽に相談できる体制が整えられている。
対象は、小中学生及び保護者であるが、ほとんどは保護者からの相談とのことである。

 相談員は4名で対応しているが、電話相談は1ヶ月ないし1ヶ月半待ちということで、相談する方が大変に多い。
悩みの種類は、友人関係、親子関係のふたつが殊に多いそうである。

7、所感
 全国的に、いじめや不登校は問題視されるようになって久しい。それは、町田市においても同様である。その解決に資すると思われる様々な施策、たとえば、伊勢市教育支援センター「NEST」やhyper-QU、Q-U、あるいは「スマイルいせ」といった取り組みは、大いに参考事例になると思われる。

調査事項:刈谷市、社会教育の振興について、文化・スポーツの振興について
視察内容:刈谷市総合文化センターについて

1、施設の概要
 当施設は、生涯学習センターと市民ホールで構成する複合施設となっている。敷地面積は、11,765.99平方メートルであり、規模は地下1階、地上5階の鉄骨鉄筋コンクリート造りで一部鉄骨造りである。

 施設内容は、中央生涯学習センターとして、研修室、講座室、展示ギャラリー、陶芸室、創作活動室、調理実習室、パソコン研修室、多目的練習室、音楽室、音楽スタジオ、和室、学習コーナー、情報コーナー。
市民ホールとして、大ホール、小ホール、リハーサル室。
以上の施設が、刈谷駅の至近距離に通路に屋根があるため、雨に濡れないで駅から来ることができる位置にある。

2、開館までの経緯について
 昭和58年にタイル工場跡地を市公社が取得
 平成5年 再開発準備組合設立
 同 年 第5次刈谷市総合計画に市民文化施設の整備を位置づけ
 平成9年 準備組合・市より住宅都市整備公団に施行要請
      市民ホール構想の策定、市民意識調査の実施
 平成14年 第6次刈谷市総合計画に市民ホール等の建設を位置づけ
 平成15年 都市計画決定(知事決定)
 平成16年 公共施設基本設計作成
 平成17年 事業計画認可(大臣認可)
       市民団体、障がい者団体、文化協会等に意見聴取
 平成18年 権利変換計画認可(大臣認可)
 平成19年 工事着手
 平成21年 建築工事の完了公告
 平成22年 総合文化センター開館

3、運営状況について
1)市民ホールについて
[平成24年度実績]
(ア)開館日数:346日
(イ)利用者数:259,551人
(エ)利用日数及び日数稼働率
・大ホール 231日(70.0%)
・小ホール 228日(68.3%)
・リハーサル室1 133日(39.0%)
・リハーサル室2 274日(79.2%)
  合計        (64.1%)

4、成果と課題について
(ア)成果
 催事については、旧来の市民会館より設備が充実したことから、これまで刈谷で見ることができなかったものが可能となっている。また、駅から徒歩3分、名古屋駅から17分という地の利があることや設備等の充実もあって、施設の特徴がイベントプロモーターに浸透しつつあることから、貸館としても評価を受けている。
 駅前としての賑わいの創出に貢献していることのほか、施設内のユニバーサルデザインへの評価として、内閣府特命大臣表彰奨励賞等を受賞している。

(イ)課題
1)指定管理者制度を採用しているため、指定管理者との緊密な連携を図ること。

2)市民がより文化芸術に慣れ親しむことができるように魅力あふれる催事を実施すること。

3)市民にとって利用しやすい施設であるよう管理運営を適切に行うことにより、利用率の向上を図り、生涯学習活動並びに文化芸術活動の推進を図ること。

5、今後の取り組みについて
 質の高い舞台芸術鑑賞事業を実施しつつ、これまで文化芸術に親しむ機会のなかった人の関心を高め、鑑賞人口の裾野を広げる。
 また、市民の創作活動等を支援するための場を提供し、市民が本格的は創作活動に取り組む機会を創出する。

6、所感
 町田市の市民ホールは、もともとボウリング場だった施設を市が購入し、ホールに改築したものであるため、ホールとしての使い勝手が悪いとされる。従って、従前より本格的なホールの開館が市民の大きなニーズとして存在する。そのような当市にとっては、この施設は、大変参考になるものであった。