町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

2019年 建設常任委員会 行政視察報告書議員活動

2019.07.11(木)

7月1日 岩手県盛岡市、視察項目【都市計画事業について】
7月2日
岩手県釜石市、視察項目【公園・緑地政策について】
7月3日 岩手県釜石市、視察項目【環境政策について】

1、【盛岡市】盛岡駅西口開発について

2、盛岡市は北東北の交流拠点都市

 明治22年に盛岡市は市制を施行し、その後令和元年度で施行130年を迎えている。

 岩手県の県庁所在市で、政治、経済、教育、文化など岩手県の中心的な位置を占め、平成4年には南隣の都南村と、平成18年には北隣の玉山村と合併し、人口約30万人を擁する中核市である。

 また、東北新幹線や秋田新幹線、JR東北本線、田沢湖線、花輪線、山田線、いわて銀河鉄道網。東北縦貫自動車道や国道4号、46号、106号、396号、455号など主要な交通の結節点として北東北の交流拠点都市としての役割を担っている。

3、盛岡駅西口地区都市整備事業

3-1、整備の背景と課題

 盛岡駅西口地区の整備事業について話が持ち上がったのは、昭和53年6月とされている。

 昭和60年に国鉄盛岡工場が廃止になって、「国鉄盛岡工場跡地利用対策協議会」が、昭和61年に発足し、本格的にまちづくりの構想が始まった。

 施行以前の地区の中心部には、旧国鉄盛岡工場の廃止に伴う大規模空閑地(約14.3ha)が存在しており、周辺の住宅地にはアパート等も見受けられたものの、低層の一戸建て住宅が密集していた。

 主な道路は、北側の周辺部に太田橋から盛岡駅前北通りに至る市道(幅員6m)と旧国鉄盛岡工場跡地の西側に沿って走る市道(幅員6m)の2路線が挙げられるが、このほかの市道6路線(幅員3.5mから5.0m)は、いずれも幅員が狭小であるうえ、相互の連絡に欠けている状況だった。

3-2、開発の基本コンセプト

 『あそびごころ・ふれあいのまち』

 このコンセプトに盛り込まれた盛岡駅西口地区開発の基本的な考え方は、新しい盛岡市の都心地区にふさわしい都市活動を実現する内容のものとして、次のような都市の実現を目指している。

◯人・情報・技術が「であい」「ふれあい」「交歓・交流する」、新たな“いち”をつくる

◯職(先端・頭脳産業の集中地区)・住(アメニティあふれる居住空間)・遊(若者が楽しめるアミューズメント・エリア)が一体となった魅力ある都市をつくる本物のヒト、モノ、サービスにふれることのできる都心をつくる

3-3、整備の基本方針

 この地区は、東北新幹線盛岡駅、JR盛岡駅に隣接し、東北自動車道盛岡ICから車で約7分という交通利便性があり、地区に隣接する雫石川の河川敷は、盛岡市景観計画において河川景観保全地域として位置づけられており、白鳥の飛来や小動物の生態が保全されているなど、豊かな自然に恵まれた地域でもあります。

 これらのことをふまえ、高速交通体系を享受する至便の立地条件のもとに都市拠点形成を図ることにした。

3-4、整備の概要

 盛岡駅西口地区の整備には次の3つの事業を組み合わせ、実施した。

ア 土地区画整理事業

 事業の概要は次のとおりとなっている。

・事業名称=盛岡広域都市計画事業盛岡駅西口地区土地区画整理事業

・施行者=盛岡市の公共施行

・施行面積=35.6ha

・施行期間=平成5年度~平成22年度(清算期間を含まない)

・減歩率=43.1%(公共34.9%、保留地8.2%)

・事業費=303億円

 都市基盤の整備は「ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業」を導入して、公共施設整備を行った。顔づくりのテーマは「ゆとりある空間・いきな都市・ふれあいの快適な生活空間」だった。整備の特色としては、電線共同溝整備による電線類地中化、地下水を熱源とするヒートポンプや還元井方式の融雪装置の設置、自然石等を使用した高質舗装、地場産業である南部鉄器の地肌の特徴を活用した高質なデザイン照明の設置等であった。特に橋梁部は、アルミパネルを用いた外装版で覆い盛岡の玄関口の顔を演出した。

イ まちづくり総合支援事業・まちづくり交付金事業

 事業の概要は次のとおりとなっている。

・施行者=盛岡市、第三セクター((㈱盛岡地域交流センター)、民間(東北電力)

・施行期間=平成3年度~平成16年度、平成19年度~平成23年度

・事業費=81億円

・事業概要

 高次都市施設として、高度情報センター(マリオス内に整備)、人口地盤、盛岡駅東西自由通路を整備した。地域生活基盤施設として、歴史的建造物(旧国鉄盛岡工場)、外壁の復元モニュメント(マリオス内に設置)、下水ポンプ場や変電所の廃熱を利用した地域冷暖房システム、歩行支援施設(エレべ―タ―、エスカレーター)を整備した。

ウ 密集住宅市街地整備促進事業

 盛岡駅西口地区の整備計画に従って住宅等の建て替えを促進し、併せて住環境の改善を総合的に行うため、地区内に移住する方々のうち住宅に困窮すると認められる方々が入居する公的住宅(コミュニティ住宅・愛称@「アピス盛岡」)を建設した。2から8階までをコミュニティ住宅とし、福祉施設の整備のため1階にはデイサービスセンターと在宅介護支援センターを合築している。事業概要は次のとおりとなっている。

・施行者=盛岡市

・施行期間=平成7年度~平成10年度

・事業費=23億5,000万円(うちデイサービスセンターの事業費3億5,000万円)

4、視察を終えての所感  新幹線駅が開業されることで、当駅の従来から発達した商店街とは異なる側の開発を進める例は枚挙に暇がないが、この盛岡駅西口地区の開発は成功例として特筆に値するものと認識した。

1、【釜石市】釜石鵜住居復興スタジアムについて

2、市民の夢と希望と勇気を乗せたスタジアム整備へ

 釜石市は、2019年にアジアで初めて開催されるラグビーワールドカップ2019日本大会を通じて、東日本大震災の復興のシンボルとして、そして将来を担う子どもたちに夢と希望を与えるために、開催都市に立候補し、2015年3月に開催都市に選ばれた。

国内12の開催都市の中で、唯一スタジアム会場をもたなかった釜石市は、東日本大震災からの復興を目指して、下記の考え方によって、「釜石鵜住居復興スタジアム」を、新たに整備した。

1)三陸被災地のスポーツ施設不足を解消し、県民が集い、スポーツを楽しめる。

2)国際・国内スポーツ大会をはじめ各種多様なイベント開催ができる(音楽・芸術・国際交流等)。

3)医療福祉目的の健康体力づくり施設として有効活用できる

4)震災の記憶と防災の知恵を伝える

5)ラグビー日本選手権V7・RWCレガシーを伝える

6)釜石フィールドミュージアムを構成(自然環境、歴史文化を野外活動として学習体験)。

3、夢の舞台となるスタジアムは、釜石市立釜石東中学校と釜石市立鵜住居小学校の跡地に建設され、それは、防災を象徴する場所となっている。

 同小中学校に在学していた約600人は、東日本大震災時、一緒に走って逃げて犠牲者を出すことはなかった、シンボリックな場所である。

 その小中学校の跡地に建設された釜石鵜住居復興スタジアムは、釜石市の防災への考え方を広く発信しながら、震災の記憶と防災の知恵を伝えるものとなっている。

4、メインスタジアムの大きな屋根幕は、鳥の羽根や、船の帆をイメージして造られた。これは、震災からの大きな羽ばたきや新たな船出を形象化したもので、復興を目指した新たなスタートをイメージしたものである。

5、2017年5月に釜石市で発生した尾崎半島山林火災の被害木(杉約800本)を活用して、木製シート4,990席、ベンチ108基、トイレ2棟、日よけのためのルーバーを設置し、自然豊かな釜石特有の自然空間で、世界中からの来訪者をおもてなしする。

5、スタジアム整備に伴い、メインスタンドの最前列へ、北上市(旧国立競技場寄贈)、熊本県、東京ドームから寄贈を受けた青い座席を600席設置し、「絆シート」として活用することで、多方面からの支援によってスタジアムが完成したことへの感謝の気持ちを広く発信している。

6、メイングラウンドには、優れた耐久性と衝撃吸収性のほかメンテナンス性にも優れる、床土改良型のハイブリッド天然芝を採用することで、世界最高のパフォーマンスに必要なグラウンドコンディションを提供することができている。

 このハイブリッド芝は、当グラウンドが日本初の導入である。

7、グラウンド西側駐車場の裏側(海抜200m)へ、津波災害時等の緊急避難場所を整備し、有事の際に指定の避難場所への誘導等にあたった従事者等の緊急避難場所となるものとなっている。

8、釜石鵜住居復興スタジアムの概要

8-1、収容人数:6,000人(RWC2019開催時約16,000席)

8-2、スタジアム広場:90,000㎡

9、視察を終えての所感

 ラグビーワールドカップでは、同会場で2戦が開催され、その際は満員となることは質疑の中で明らかにされたが、問題は、ワールドカップ後、同会場を大幅な赤字体質とならないようにするためには、どのように運営するのか、だと思った。

1、【釜石市】東日本大震災における災害廃棄物の処理について

2、釜石市の被災状況

2-1、人的被害

◯死亡者数…1,064人(身元不明8人)

〇避難者…市内避難9,883人(平成23年3月17日最大)

     内陸避難633人(平成23年5月9日最大)

2-2、家屋被害

〇住家総数16,182戸のうち、被災住家数4,704戸(29.1%)

2-3、産業関係

〇市内事業所2,396事業所のうち、1,382事業所が被災(57.7%)

〇市内3漁協の漁船1,734隻のうち、1,692隻が被災(97.6%)

3-1、災害廃棄物処理の市と県の事務区分

〇市独自で処理することを基本とし、東日本大震災で「特に必要となった廃棄物の処理に関する事務」として、4つの事務を岩手県に委託。※東京都への広域処理は平成25年度に県委託。

岩手県には、1、仮置場までの収集運搬のうち、道路・河川等2、処理・処分のうち、PCB等処理困難物、3処理・処分のうち、広域処理4、処理計画の策定を委託した。

3-2、災害廃棄物の処理に向けて(平成23年6月~12月)

(1)監理業務の委託

 平成23年6月に、パシフィックコンサルタンツ㈱に委託。

(2)専任組織の設置

(3)釜石市災害廃棄物処理計画の策定

(4)旧清掃工場の再稼働の検討と補修

(5)他の償却施設の活用検討と調整協議

3-3、処理事業の結果(平成26年3月末現在)

国によるマスタープランの処理完了期限平成26年3月31日

(1)処理実績量:約94.6万トン

(2)総事業費:約400億円(全額国庫補助金)

(3)リサイクル率:約78%(計画値70%)

(4)地元雇用率:約70%(計画値50%)

(5)労働災害:死亡事故0件

(6)思い出の品:引渡率50%(約1万件)

(7)暴力団排除の徹底:協議会を設置し、全7回開催

4、視察を終えての所感

 質疑の結果明らかになった、総事業費約400億円の件であるが、全額国庫補助金で対応したということなので、納得した。