三遊亭 らん丈

　今夏の高校野球選手権大会の西東京地区代表に、桜美林高等学校が決まりました。ぼくは甲子園で開かれる選手権大会にはほとんど興味がないので、おそらくテレビでは見ることはないでしょう。ラジオでならば一部聴くかも知れませんが。

　桜美林高校はぼくが生まれ育った町田市内にありますが、ぼくの母校ではないので、なんらの思いいれもありません。たとえ、昭和51年のときのように、桜美林高校が全国優勝してもそれは同じことでしょう。もっとも、こういうことはいざ優勝すると変わるんですよね。だから、確約は出来かねますが。

　けれど、テレビ神奈川や東京MXテレビで中継する地区予選は好んで見ます。それも、出場チームが弱ければ弱いほど好い。身長１ｍ60cmぐらいで球に食らいついていく選手を見るとつくづくいいなぁと思う。どうして好いのかといわれても困るのです。とにかく好いからいい。もちろん、PL学園高当時の清原選手のプロ顔負けの凄みのあるバッティングも決して嫌いではありませんでしたが、共感は名もない選手のほうにより多く覚えるのです。

　これは、多分にぼくの性格によるところが大きいと思われます。たとえば、デパートに行ってもぼくは華やかな売場よりも、屋上のだれもお客さんが行かないような片隅に陣取るペットショップのほうに、行きたくなることと同じことかもしれません。

　生来、陽の当たらない場所が好きなのです。

　閑話休題。甲子園で高校野球が始まると、NHKではほぼ全試合を総合と教育の2チャンネルとラジオで放送しますが、高校野球はそれほどの時間をかけて中継するのに値するアイテムなのでしょうか。たしかに、出場校の在学生や卒業生はテレビで見たいと思うでしょう。けれど、出場校の関係者がいったい何万人いるというのでしょう。全人口に占める割合はごく僅かなものでしょう。どうして、それらの方々にこれほどに、公共放送の時間を割かなければいけないのでしょう。高校野球を放送するぐらいならば日本独自の芸能、落語にもっと時間を割けなぞという暴言を吐こうとしているのではありません。もうちょっと落語の時間を増やしてほしいというのが偽らざる本音ではありますが、いくらなんでも高校野球の優遇ぶりは、眼に余るのではありませんか、と疑義を呈しているのです。

　たしかに、夏休み期間中でお盆でもありますから、国会を始め、その機能を停止している機関が多々あるため、高校野球ぐらいしかこの時期視聴率がとれる番組編成はほかにできないのも事実でしょう。けれど、視聴率のことをいうのであれば、なにもこの暑いさなかドームならばともかく炎天下の甲子園球場で野球をさせることもないでしょう。昼は、高校生の本分である勉強をさせ、6時以降の時間を使ってナイターでさせればいいではないですか。球場だって甲子園のみに限定することはないのです。いっそのこと、札幌のドーム球場でさせればいいではないですか。涼しいですよ。

　どっちにしろ、ぼくはいつどこでやろうと高校野球の選手権大会には興味がないので、テレビは見ません。ですから、いくら暑いところでなさろうと、ご苦労様としかいえませんが。