町田市議会議員 会派「自由民主党」/(一社)落語協会 真打 三遊亭らん丈【公式ウェブサイト】

三遊亭 らん丈

「自選四季」 自句を閲するらん丈の、落語歳時記

2000.08.01(火)

「自選四季」  三遊亭らん丈
 自作を検証するのが好きか嫌いかと問われれば、断然嫌いと、声を大にして申し上げる。なのに「自選」となれば、悪夢の如き仕儀ではありますが、師匠の仰せとあれば、致し方ございません。いざ。

春  石を蹴りながら帰る新入生
  自画像です。新入生ですから、友達もまだおらず、仕方なく石を友に見立て、あろうことか、それを蹴りつつ帰ったのです。

夏  風鈴売ゆつくりと天秤棒下ろす
  上げるときには、勢いをつける場合があり、さほどゆっくりではありませんが、下ろすときはゆっくりです。

秋  野分でさえ風はいつも横に吹く
  当たり前のことながら、自然の風は上下からは決して吹きません。それは、野分であっても例外ではないのです。

冬  死ぬまでずっと爪を剪る冬の宵
  爪を剪るのは、ほんの少しばかり好きです。できることなら、もっと指がたくさんあると暇つぶしには、もってこいなのです。

新年 初富士をじっと見ている座敷犬
  なるほど、犬でさえも、初富士は、いつもの富士とはどうも異なって見えるようなのです。知らなんだ。